育休を2度取得され、現在は「時短正社員」として勤務されていますが、この働き方を選択した背景について教えてください。
第1子が生まれた際に1年間の育休を取り、復職後はフルタイムでお客様先に常駐していました。ただ、夫婦ともに地方出身で近くに頼れる親族がおらず、当時は妻にフルリモートの案件に就いてもらい、家事も育児も妻に任せきりになってしまっていたんです。
その後、第2子が生まれたタイミングで再び1年間の育休を取ったのですが、いざ復職を考える段階で、妻から「今までと同じやり方では、2人の子育ては無理」と言われました。実は妻も自身の会社に時短勤務を希望したのですが、業務の都合で叶わず、育休中に急遽フルフレックス制度のある会社へ転職することになったんです。
これまで積み上げてきた妻のキャリアが、働き方の制約によってパートやアルバイトになり、可能性が潰れてしまうことだけはパートナーとして絶対に避けたかった。そこで、今度は私が時間を削る選択をして、妻のキャリアも尊重できる体制を作ろうと話し合いました。アイエスエフネットには「ショート(時短)正社員※1 」という選択肢があり、男性でも当たり前に利用できる環境だったこと、そして国の「育児時短就業給付金※2 」が収入面をカバーしてくれたことも大きな後押しになりました。
※1 ショート正社員制度:多様な人材の活躍やライフワークバランスの実現を目指し、正社員としての雇用形態を維持したまま、勤務時間(1日最大2時間)を短縮して就労できる制度。育児や介護といったライフステージの変化による離職を防ぎ、個人の事情に合わせた持続可能なキャリア形成を可能にします。
※2 育児時短就業給付金:2025年4月に創設された雇用保険の給付制度。2歳未満の子どもを育てるために時短勤務を利用して賃金が低下した労働者に対し、原則として時短勤務中に支払われた賃金額の10%が支給される(※賃金の低下率による支給率の調整や、支給上限額あり)。

長年担当していた常駐先から、現在は社内の「セキュリティLab部」へ異動されています。どのような経緯だったのでしょうか?
当初は時短勤務を受け入れてくれる常駐先を探していたのですが、条件に合う案件がすぐには見つからず、最悪の場合は私自身も転職を覚悟していました。しかし、担当営業やセキュリティLab部の管理職の方が私の心情やキャリアを深く理解してくださり、「セキュリティLabなら時短でもキャリアが積めるよ」と社内向けの研修講師という内勤のポジションを提案してくれたんです。
後から担当営業に推薦理由を尋ねたところ、「突出した技術スキル以上に、知識を活かして人に寄り添う姿勢がこの仕事に向いている」と評価してくれていたことを知りました。
具体的な理由の1つ目は「丁寧で明るいコミュニケーション」です。ヘルプデスク業務などで培った、第一印象の良さや丁寧な話し方が受講者の安心感に繋がると評価していただけました。
2つ目は、「自身の経験や技術を、誰にでもわかりやすく言語化・整理する力」です。私は過去の業務内容や扱ってきたツールを細かい粒度で資料にまとめて提出していたのですが、営業担当はそれを他メンバーへの『自己アピールのお手本』として活用してくれていたそうです。「自分の経験を体系立てて分かりやすく伝えられる(相手の目線に立てる)人なら、講師ポジションにも適任だ」と判断してくれたとのことでした。
もちろん、時短制度を利用すれば誰もが内勤へ異動できるわけではありません。通常は常駐先での時間調整や別案件へのアサインが基本となりますし、私の場合はこれまでのスキルやポジションの空き状況など、タイミングが重なった運の要素も大きかったです。それでも、個人の事情を切り捨てるのではなく、会社が寄り添って私に合う柔軟な選択肢を一緒に探してくれたことには感謝しきれません。

限られた時間の中で成果を出すための工夫や、現在の働き方はいかがですか?
現在は、RMF(リスクマネジメントフレームワーク)※4 の知識を習得し、社内向けの研修で講師を務めています。1日1時間短いということは、月に換算すると約3日分も稼働時間が少ないことになります。だからこそ、他のメンバーと同じパフォーマンスを出すために「時間の無駄遣いは絶対にしない」と心に決めています。
Googleカレンダーでの緻密なスケジュール管理やタスクの優先順位付けはもちろん、最近は上司の勧めでGeminiなどの生成AIを積極的に活用し、業務の処理スピードを劇的に上げるなど、働き方そのものをアップデートしています。また、子どもの急な発熱でお休みをいただくこともありますが、社内は有給が取得しやすく「子どもの体調不良のため休みます」と連絡すればチームがスムーズにフォローしてくれる心理的安全性があるため、とても働きやすいですね。
※4 RMF:組織に導入しているシステムが直面するセキュリティリスクなどを特定・評価し、継続的に管理するための体系的な枠組み。米国国立標準技術研究所(NIST)が定めたガイドラインが代表的で、システムのライフサイクル全体にわたって対策を計画・実行・監視するプロセスを定義している。
時間に制約があると「キャリアが停滞するのでは」と不安になる方もいますが、今後の目標についてどのようにお考えですか?
まずは今の部署でセキュリティの専門分野を深く学び、自身の専門性を確固たるものにしていきたいです。RMFだけでなく、ISMS※4 など横のつながりも網羅し、講師として教えられる幅を広げていくことが直近の目標です。
また、私はこの先ずっと時短勤務を続けるつもりはありません。今は子どもが小さく、どうしても家庭に比重を置く必要がある過渡期なのでこの制度を利用していますが、両立の体制が整い次第、フルタイムへの復帰を希望しています。時短正社員は、ライフステージの変化に合わせて「働き方の選択肢を広げ、キャリアを途切れさせないための制度」だと実感しています。
長期的には、プレイヤーや講師に留まらず、マネジメント領域にも挑戦したいと考えています。限られた時間の中で生産性を極限まで高め、周囲を巻き込んで動かせるような「市場価値の高い人材」になっていきたいと強く思っています。
※4 ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム): 組織の情報資産を様々な脅威から守り、リスクを適切に管理するための総合的な枠組み。情報の「機密性」「完全性」「可用性」の3つを維持・改善していくことを目的としており、国際規格である「ISO/IEC 27001」の基準が広く知られている。

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