AWS資格とは、AWSの機能や仕組みを理解して、それぞれのケースで最適なソリューションを提案できることを証明する資格です。クラウドエンジニア、インフラエンジニアであれば取得しておいて損はありません。

資格は全部で12種類あり、それぞれ4つのコースに分かれています。なかには未経験者や初心者に向けた資格もあります。

ただし、取得を目指すなら効率よく学習することが重要です。AWSは学習用の動画やサンプル問題を提供しています。それを利用し、模擬試験を解いたり、実際にAWSを動かしたりするアウトプットも欠かせません。

また、企業がITシステムをオンプレミスからクラウドへ移行を進めていることから、クラウドエンジニアの需要が拡大しており、AWSの知識を有するクラウドエンジニアの求人募集も急増しています。

この記事では、全12種類の資格について解説するとともに資格取得のメリット、効果的な学習方法について触れています。受験費用や注意点についても言及しているので、AWS資格について知りたい、もしくは取得を目指している方にとって参考になるはずです。

AWS資格の種類

AWS資格は4つのコースから成り立っています。クラウドやAWSに初めて触れる場合は、基礎コースから始めてみましょう。

  • 基礎コース
  • アソシエイト
  • 専門知識
  • プロフェッショナル

2023年時点で各コースに含まれる資格の総数は12です。

基礎コース

基礎コースは、AWS資格のなかでもっとも難易度が低いコースです。正式な名称はAWS認定Cloud Practitioner(クラウドプラティクショナー)といい、基礎コースの学習を通してクラウドを理解しAWSの基礎知識が身につきます。

アソシエイト

アソシエイトコースで取得できる資格は3つです。アソシエイトの資格は、AWS公式によると1年以上の実務経験を持つ担当者が対象とされていますが、実際は関係ありません。未経験者であっても、事前にしっかり勉強すれば取得できます。

  • AWS認定Solution Architectアソシエイト
  • AWS認定Developerアソシエイト
  • AWS認定SysOps Administratorアソシエイト

■AWS認定Solution Architectアソシエイト

Solution Architect(ソリューションアーキテクト)アソシエイトは、AWS資格でも知名度の高い資格です。

システム設計者向けの資格のため、分散システムの可用性やコスト効率、高耐障害性などについての理解が求められます。

ですから、顧客の要件に沿ったシステムを設計、構築したり、最適な方法でシステムを組織的に運用したりするのに必要なスキルや技術を証明できます。そのため転職にもアピールポイントとして活かせますが、もっとも試験範囲が広いという特徴があります。

■AWS認定Developerアソシエイト

Developer(デベロッパー)アソシエイトは、開発担当者を対象にした資格です。

取得すると、AWSをベースにアプリケーションを開発したり保守したりするエンジニアとして、中級程度の知識やスキルを有していると証明できます。出題範囲はSolution Architectアソシエイトよりも狭く、より深い知識が求められます。

■AWS認定SysOps Administratorアソシエイト

SysOps Administrator(シスオプス アドミニストレーター)アソシエイトとは、システム運用担当者を対象とした資格です。

この資格は試験中、実際にAWSを操作するシーンがあります。つまり、実務のような対応が求められるため事前にAWSに触れ、慣れておくことが重要です。

取得すると、AWSにおける開発、管理や運用において中級程度のスキルがあると証明できます。

プロフェッショナル

プロフェッショナルコースで取得できる資格は2つです。

  • AWS認定Solution Architectプロフェッショナル
  • AWS認定DevOps Engineerプロフェッショナル

■AWS認定Solution Architectプロフェッショナル

Solution Architect(ソリューションアーキテクト)プロフェッショナルは、Solution Architectアソシエイトの上位資格です。AWS資格の中で最も難易度の高い資格と言われています。

試験ではコスト管理、新しいソリューションの設計や移行計画に関して出題されます。取得できれば転職においてより有利になり、ステップアップも可能です。

■AWS認定DevOps Engineerプロフェッショナル

DevOps Engineer(デブオプスエンジニア)プロフェッショナルは、DevOpsエンジニアの上位資格です。取得難易度が高く、アソシエイトコースの資格よりも転職に有利と言えます。

AWSでアプリケーションを構築する上で、より高度な開発と運用知識を持っていることを証明できる資格です。試験では主に、SDLCの自動化や監視およびロギングなどについて出題されます。

AWSエンジニアとしてより専門性を高めるのであれば、取得を目指してみるのもよいでしょう。

専門知識

専門知識コースは6つです。いずれも専門性の高い資格のため、試験範囲は狭いものの、それぞれの分野への深い理解が求められます。受験にあたっての目安はAWSでの実務を2年以上、各分野で5年以上の実務経験を持つ人が対象です。

  • AWS認定高度なネットワーキング
  • AWS認定データアナリティクス
  • AWS認定データベース
  • AWS認定機械学習
  • AWS認定セキュリティ
  • AWS認定SAP

プロフェッショナルと同等かそれ以上の難易度ですが、専門知識コースの資格はAWS以外でも通用する能力を持っていることを証明できる資格です。

■AWS認定高度なネットワーキング

AWSを使った、クラウドベースのソリューションの設計、開発などに必要な知識や技術が要求される資格です。

試験では外部ネットワークとの相互接続についてや、AWSの根本とワークリソースへの深い造詣、ネットワークインフラそのものに関する知識が問われます。

AWS内のサービスではDirectConnectやVPC、VPN、ELBなどを利用するため、これらについても勉強してください。

■AWS認定データアナリティクス

AWSデータレイクおよび分析サービスに関する資格ですが、総合的な理解が求められます。

AWSのデータ分析は、データの収集や蓄積、加工や分析を担うサービスを組み合わせて行います。そのため、各サービスの機能や役割を把握した上で、それぞれが連携してどのように動いているかについても理解することが重要です。

取得にあたってはAWS資料やAWSブログが役に立ちます。また、AWSの各サービスのメリットとデメリット、使用パターンを把握しておいてください。

■AWS認定データベース

データベースに関する専門知識を問われる資格です。試験内容の分野で半数を占めているのはデータベース設計やデプロイ、移行です。

そのため、学習はこの部分に重きを置くと効率的に進められます。一般的なデータベースに関する知識を基にAWSサービスを利用することがこの試験の主軸です。

AWSについてSolution Architectアソシエイトレベルの知識があると、問題文を理解するのに役立ちます。そのため、始めにSolution Architectアソシエイトを取得するようおすすめします。

■AWS認定機械学習

機械学習の資格で要求されるのは、機械学習そのものに対する理解です。

試験では機械学習のアルゴリズムやその問題について、またユースケースにおける最適な選択が問われます。

これは具体的に言えば、画像分類にはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)、時系列データにはRNN(再帰型ニューラルネットワーク)を選択できるということです。

機械学習の資格はAIに関して知っておくことが重要ですから、受験するときはAIやPythonを学習するようおすすめします。

■AWS認定セキュリティ

出題されるのは、インシデント対応やログ記録とモニタリング、インフラストラクチャのセキュリティなどです。

この資格を取得すると、セキュリティの運用とリスクについて、またAWSでのデータ保護のメカニズムなどを理解していると証明できます。

IT関連の経験が浅い、またはセキュリティに関する知識に自信がない場合はアソシエイトコースの資格取得から始めてみましょう。

■AWS認定SAP

SAPとは、ソリューションアーキテクチャプロフェッショナルの略称です。出題範囲は組織の複雑さに対応する設計や新しいソリューションの設計などです。

この試験では、組織のインフラ責任者としての見方やクラウド移行、もしくはハイブリッド環境での最適なアーキテクチャを見い出すことが求められます。

問題文の内容をすばやく理解して、問題の趣旨に基づいて最適なソリューションを見つけるために、読解力も必要です。


AWS資格を取得するメリット

AWS認定資格を取得して得られるメリットは4つです。

  • 専門性が高く企業からの信頼を得られる
  • AWSの最新情報を得られる
  • AWSのコミュニティーに参加できる
  • 即戦力として活躍できる

専門性が高く企業からの信頼を得られる

AWSをはじめとしたクラウド技術を取り入れている企業が増えている一方、精通したエンジニアは少ないのが現状です。

つまり、AWS認定資格を持っているエンジニアは多くの技術と知識を持っているとして、企業からみて信頼できる人材に映ります。そのためエンジニアとしてキャリアアップや、より多くの収入を得ることにもつながります。

AWSの最新情報を得られる

AWSの試験は最新機能に関する問題も多く出ており、仮に実務経験があっても最新機能についての知識が必要です。そのため、試験勉強は実務経験者にとっても有意義であり、エンジニアとして働くうえでのモチベーション維持にも適しています。

AWSのコミュニティーに参加できる

AWS認定グローバルコミュニティーとは、AWS資格の保持者のみが参加できるコミュニティーです。

メンバーは世界各国に存在していて、人脈を広げたり、新しい知見を得たりするために役立ちます。また、AWSの最新情報やクラウド全般の知識を共有しているため、仕事をする上で刺激を得られます。

即戦力として活躍できる

就職や転職の際、AWS認定資格を取得していれば即戦力として活躍できます。

AWSを採用している企業へのアピールになるほか、エンジニアとしての経験が浅くともAWS案件へアサインされやすくなります。有利な条件での就職や転職を望むなら、Solution Architectアソシエイトの取得を検討してみましょう。


資格取得のための効果的な勉強方法

資格取得のための勉強方法として効果的なものを5つ挙げました。

  • 動画で学習する
  • サンプル問題や模擬試験を解く
  • 問題集や参考書を使う
  • 実際にAWSを使う
  • AWS公式情報を確認する

動画で学習する

オンラインスクールや動画学習サイトを利用する方法です。

AWSではAWSトレーニングとして、受験を予定している人に向けて無料の動画を公開しています。

動画は概要や対象者、学習内容によって分かれており、日本語対応しているものだけで160種類あります。むろん、トレーニングのみで受験に合格できるわけではありませんが、試験の全体を把握するのに便利です。

サンプル問題や模擬試験を解く

サンプル問題や模擬試験は、試験の雰囲気をつかむのと同時に知識のアウトプットにも役立ちます。サンプル問題はAWSの各試験ページからダウンロードできます。また、模擬試験は一部を除いて無料で受けられます。

問題集や参考書を使う

初めてAWSに触れる人やエンジニア未経験者におすすめできるのが、問題集や参考書です。書籍は体系的に情報がまとめられていてわかりやすい上に、AWSが認定しているものもあります。

動画学習と合わせて使えば、より効率的に内容をインプットできるはずです。

実際にAWSを使う

AWSは一部サービスを12か月の間、無料で利用できます。試験には実技を含むものもあるため情報を頭に入れるだけではなく、実際にAWSを操作して覚えるのも重要です。

AWS公式情報を確認する

AWSが公開している資料も試験対策に有効です。

AWSの公式資料からは最新情報を入手できるため、試験内容に合わせてチェックしてください。ただし、資料は英語のものが多いため、閲覧するときはブラウザーの翻訳機能を使うことをおすすめします。AWSの公式資料は以下から確認できます。


AWS資格の費用

AWS認定資格の受験費用を以下にまとめました。

AWS認定資格コース金額
基礎コース11,000円
アソシエイト15,000円
プロフェッショナル30,000円
専門知識30,000円

割引クーポンを活用する方法もある

割引クーポンを利用して、受験費用を安く抑える方法もあります。クーポンを入手する方法は2つです。

  • AWS資格を取得する
  • AWS開催イベントに参加する

AWS資格を1つ取得すると、次の受験で使える割引クーポンを入手できます。合格し続ければ常に費用を抑えながら資格を取得できるため、しっかり勉強をした上で試験に臨むとよいでしょう。
また、AWSが開催するセミナーやイベントに参加しても割引クーポンを入手できます。ただし、イベントで配布されるクーポンは期限が限られていることと利用できる試験が限定されている点に注意してください。


AWS資格の注意点

AWS資格の取得を目指すとき、注意すべき点があります。

  • 資格は更新制
  • 問題文には誤訳もある

資格は更新制

AWS資格の有効期間は3年間です。そのため、3年ごとに再認定試験を受けなければなりません。

これは、AWSが常にアップデートを続けているため、資格保持者も最新情報を把握してAWSの機能を理解できるようにするためです。ただし、これはAWSだけに限定した話ではなく、IT業界全体に言えることです。

問題文には誤訳もある

AWS認定資格は日本語にも対応していますが、元々は英語でした。

そのため、日本語に翻訳された問題文にはわかりにくいものもあります。このような場合は、原文を確認してください。特に、説明が長く続くような設問では主語がはっきりしている原文のほうが、趣旨を掴むのに役立ちます。


AWS以外におすすめできる資格

クラウドエンジニアとして働くのに有益な資格はAWS認定資格だけではありません。
以下に4つピックアップしました。

  • ネットワークスペシャリスト試験
  • プロジェクトマネージャー試験
  • Google Cloud認定資格
  • Microsoft Azure認定資格

なお、Google Cloud認定資格とMicrosoft Azure認定資格はAWSと同じく、初学者もしくは非エンジニア向けの基礎コースが用意されています。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は、経済産業省が定めるIT標準スキルの最難関に位置する国家資格です。

ネットワークの要件定義から設計構築、運用保守や評価といったネットワーク全般に関する知識が問われます。この資格を取得できれば冗長化された可用性、信頼性、拡張性の高いシステム構成の仕組みを理解でき、AWS上で構築するときにも役立ちます。

プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャー試験とは、IPAが実施している国家資格の1つです。プロジェクトマネージャーとして必要な予算、スケジュール、品質管理などに関する知識が問われます。

AWS認定SAPでは解答の際にインフラ責任者の視点から考えることもあるため、プロジェクトマネージャー試験の内容を活かすことができます。

Google Cloud認定資格

Google Cloud認定資格は、Google Cloudに関する公式の認定資格です。クラウドエンジニアを目指すのであれば、取得も視野に入れてみましょう。特に、Google Cloudを利用している企業への就職や転職を希望するとき、自信を持って臨むことができます。

Microsoft Azure認定資格

Microsoft Azure認定資格は、Microsoftが提供するクラウドプラットフォームに関する認定資格です。AzureはAWS、Googleと並んで採用企業が多く、取得するとクラウドエンジニアとして対応できる業務範囲を広げることができます。


まとめ

AWS認定資格は4つのコースから成り立つ12種類の資格です。AWSの機能や最適な組み合わせについて理解すると同時に、システムの開発や運用、セキュリティなどエンジニアに必要な知識やスキルに応じて分野が設けられています。

エンジニア未経験者や初学者であれば、まずは基礎コースの取得を目指してみましょう。
転職や就職にあたっては、Solution Architectアソシエイトレベルを取得できれば自信を持って臨むことができます。

効果的な学習方法として、AWS公式のトレーニングを受け、資料を確認することが挙げられます。また、アウトプットとして実際にAWSを使ったり模擬試験を解いたりするのもよい方法です。

専門性が高く活躍できるシーンが多いことから、クラウドエンジニアの需要は、今後も高まっていくことが予想されています。エンジニアとしてより高みを目指すなら、AWS認定資格は取得しておくとよいでしょう。


この記事を書いた人

株式会社アイエスエフネット

エンジニアと共に成長し続けるITインフラ企業です。

ITインフラエンジニアの育成に力を入れ、クラウドなど時代のニーズにあわせたソリューションを展開しています。また、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関係なく、あらゆる方々がやりがいをもって働くことができるダイバーイン雇用に取り組んでいます。

エンジニアの転職や資格取得、DEIなどについて、役立つ情報を発信しています。

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