IT業界は変化の早い世界です。ですからITにおける基幹的な業務を担うインフラエンジニアも業界の変化に影響を受けやすい仕事であり、常に新しい知識を身に付ける必要があることはいうまでもありません。

インフラエンジニアは、IT市場の拡大に伴い、需要も年々高まっており、インフラエンジニアの求人募集も増加傾向にあります。

今回は、2022年現在のインフラエンジニアの転職事情をざっくりとご紹介します。

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IT業界の変遷とインフラエンジニア

2022年現在、ITの世界ではどのようなことが起こっているのでしょう。ここでは今後のインフラエンジニアに大きく影響を与えると思われる動きから、いくつかピックアップしてご紹介します。

急速に早まるクラウド化の流れ

従来、たとえば文書制作ソフトはそれぞれのパソコンにアプリケーションをインストールして使用していました。しかし、クラウドではそのようなアプリケーションがインターネット上、具体的に言えば外部のサーバーに用意されていて、それをネット経由で利用するわけです。このためセキュリティの重要性がいままで以上に重要になってきました。

また世情を受けてリモートワークを取り入れる企業が増えています。リモートワークにはオフィス空間の省力化、通勤に費やす時間の解消など利点が多いことから、勤務形態の選択肢として定着していくことが予想されます。

クラウド化、リモートワークの浸透などによりネットワークエンジニアは?オフィス”という物理的な空間を想定したLANなどの構築とは違った発想を持ち、それを実現できるスキルを身に付ける必要が生じているのです。

サーバー仮想化の普及

また従来はある程度の規模の会社ならば、自社で専用のサーバーを所有するオンプレミスと言われる運用が通常だったと言えます。このため、Webサーバー、メールサーバー、ファイルサーバーなど複数のサーバーを所有する必要があったのです。

ところが?仮想化”という新しい概念が技術化されたことで複数のサーバーを運用する時代は去りつつあります。どういうことかというとソフトウエアによって1台のサーバーにいくつもの役割をあたかも複数のサーバーを利用するように担わせることが可能になったのです。

もちろんそのためには専用のソフトウエアが必要となるので、それらに関する知識をサーバーエンジニアは身に付けなくてはならなくなりました。そうした知識を身に付ければサーバーリソースの最適化により、過剰なサーバーを必要としないよりシンプルなシステムの構築が可能になります。

注目が集まるSRE

さらに最近は「SRE(Site Reliability Engineering)」という考え方が注目されはじめました。ソフトウエアエンジニアが運用までカバーするというものです。そうするとインフラエンジニアの仕事が奪われると思うかもしれません。

しかしインフラの知識やスキルが不十分なソフトウエアエンジニアだけでインフラを構築することは脆弱なシステムや使い勝手の悪いシステムになりがちです。ですから、SREといってもインフラエンジニアとソフトウエアエンジニアが協力してシステムを構築していくのが最も理想的といえるでしょう。

このようにインフラエンジニアの需要は増すことはあっても減ることは考えにくい状況にあります。少子高齢化による人手不足がそれに拍車をかけているので、売り手市場が当分続くと考えてよさそうです。


さまざまな業界でインフラエンジニアの活躍の場が広がっている

インフラエンジニアの転職先はIT業界に留まるわけではありません。

身近な家電製品をインターネットに接続できるようにしてより快適で便利な世界を実現するなどITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるというDX(Digital Transformation)という概念が提唱されています。このことからも、もはやITは日常生活になくてはならないものとなっているといっても過言ではないでしょう。

メーカーとインフラエンジニア

工場ではいまでも人手に頼らない自動化が定着していますが、AIの導入によって経験を重ねることで得ることが出来た職人的ないわゆる暗黙知もデジタル技術への転換が図られようとしています。

そのような世界ではオンプレミス環境とクラウド環境の融合が考えられますが、それを実現できるのがインフラエンジニアといえるでしょう。

流通小売業とインフラエンジニア

流通小売業では実店舗に対する商品補給を行うロジスティックに加え、いわゆるECショップやWebモールが勢いを伸ばしています。その障壁となっていたのが、実際のショッピング感覚や定員によるリコメンドがないことでした。

しかしVA(拡張現実)の導入によって、あたかも実際の店舗に行ったような感覚で買い物をしたり、購入したい家具などを自宅に配置するにはどこに置くのが最適かを確認したりできるようになりました。ここでもクラウド環境は欠かせないのでインフラエンジニアが活躍できる場があります。

さらにスマホなどによる電子決済で商品を購入することが日本でも普及しつつありますが、当然そのようなシステムを構築するためにインフラエンジニアは必要不可欠な存在です。

金融業とインフラエンジニア

FinTech(フィンテック)と呼ばれる金融にITを導入する動きが盛んになってきました。先述した電子決済をはじめ仮想通貨、オンライン上で小口の出資者を募るクラウドファンディングなどです。あわせてITのインフラ整備の必要性も高まっています。


他職種からインフラエンジニアへ転職する場合

ここではシステムエンジニアをはじめとする他職種から、インフラエンジニアへと転職する場合を考えていきます。

資格取得で転職に必要なスキルを身に付ける

転職前の準備としては、障害、故障対応、システム障害のトラブルシューティング、アカウント管理、キャパシティ管理などの知識を身に付けておくことが必須です。しかし現業をこなしながらこれらのスキルを新たに身に付けるとなると高いモチベーションが必要です。また「自分が身に付けた知識やスキルは通用するのか?」という不安をお持ちの方もいるでしょう。

そこでお勧めしたいのが資格の取得です。資格取得のために勉強する過程でスキルを習得できるだけでなく、転職時に有利に働く可能性があります。

自分で“経験”を創出するには

実際に新しい職場に移って即戦力として活躍するためには、できる範囲で?経験”を積んでおくことをお勧めします。

現状の仕事が転職後の業務と異なる場合、勤務中に経験を積むのは難しいかもしれません。その場合は廉価なサーバーを自身で購入し、自宅で小さいシステム構築を行ってみる、という選択肢が考えられます。その場合も漠然とシステムを組むのではなく、何か目的や課題を想定して取り組むことが重要です。

また要件定義や設計書に関しては今いる職場で積極的にアピールしてサポート要員でもいいので、実際の業務に携わることが出来れば、その作業工程のフローチャートを自分なりに整理することで学べるものもあるかもしれません。


スキルアップやキャリア形成を視野に入れたインフラエンジニアの転職

よりよい条件、あるいはスキルアップ、キャリア形成のための転職を考える方も多いはず。インフラエンジニアの転職としてまず考えられるのがより高スキルが求められる職種を目指すケースです。

もし現在構築済みのシステムを監視する業務についているならば、それよりもより高い知識とスキルが要求される運用・保守という仕事を目指してみてはいかがでしょうか。

さらに上を目指したいならば、まず運用・保守で充分なキャリアを積んだうえで設計構築の仕事への転職を目指すのがいいでしょう。設計構築では要件定義や設計、設計資料の作成、電源管理、機器のセットアップ、クラウドなどに関する知識が必要になります。運用・保守に比べるとハードウエアやソフトウエアに関する幅広い知見が求められますから、ステップアップは監視から運用・保守よりもハードルが高いと言えますが、仕事の幅の広さや収入面を考えるとチャレンジしてみる価値は十分にあるといえるでしょう。

インフラエンジニアに求められる、ITスキル以外の能力

たとえば設計構築という業務で必要とされるのは知識だけではありません。まず重要なのがコミュニケーション能力。顧客がITシステムを導入することでどういう課題を効率化したいのかを汲み取らなければ、要求されるシステムを設計することができないからです。また、実際にシステムの構築のプログラミングを行うプログラマーへ的確な指示を出すためにもコミュニケーション能力は必要になってきます。

さらにシステム構築の進捗をスムーズに行うためのプロダクトマネジメント力も重要ですから、運用・保守の業務でもリーダー的な地位に意欲的に取り組むことも必要でしょう。


まとめ

インフラエンジニアの需要は今後ますます高まることが予想されます。単に職場を変えるのではなく、スキルアップしてキャリアパスを築く転職のチャンスが広がりつつあるといえるでしょう。

この記事を書いた人

株式会社アイエスエフネット

エンジニアと共に成長し続けるITインフラ企業です。

ITインフラエンジニアの育成に力を入れ、クラウドなど時代のニーズにあわせたソリューションを展開しています。また、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関係なく、あらゆる方々がやりがいをもって働くことができるダイバーイン雇用に取り組んでいます。

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