「CCNA」とは、Cisco Systems(シスコシステムズ)社が認定するベンダー資格です。シスコ社製の機器は、コンピューターネットワーク業界で世界的シェアを誇っており、多くの企業で導入されています。つまり、CCNAはネットワークに関わる基礎知識の会得や確認はもちろん、シスコ社製機器の取り扱いに強みを発揮できる資格と言えるでしょう。

CCNA取得者はネットワークエンジニアとして活躍しているケースが多く、ネットワークエンジニアを含めたITインフラエンジニアの需要は、ITシステムを導入する企業の増加に伴って年々高まり、インフラエンジニアの求人募集 も増加傾向にあります。

本記事では、スキルアップを目指すエンジニアの必須資格と言っても過言ではない「CCNA」について解説します。CCNAのメリットや試験を突破するための勉強法、資格試験に関わる情報についてもお伝えしますので、取得を検討されている方はぜひお役立てください。

CCNAとは

CCNAは「Cisco Certified Network Associate」の略で、コンピューターネットワーク機器開発の世界最大手「Cisco Systems(シスコシステムズ)社」による技術者認定資格の一つです。

シスコ技術者認定資格にはグレードがあり、中でもCCNAは認知度の高い資格です。実際にCCNAを取得し、IT企業に勤務するエンジニアは少なくありません。

ネットワーク業界で働くエンジニアに有利な資格

シスコ社製のネットワーク機器は、多くの企業で導入が進められています。ネットワークエンジニアやインフラエンジニアにとって、シスコ社製機器の理解を深めておくことは必須であると言っても過言ではありません。

CCNAはネットワーク機器開発の大手企業「Cisco Systems」が認めた資格ということもあり、取得していることで「シスコ社の機器に強い」との判断が可能となります。転職サイトに掲載された求人情報を見ても、CCNAの取得が歓迎要件とされている企業も多いです。また在籍エンジニアのレベルの指標として、CCNA取得者の人数を明記している企業もあります。

よって、CCNAはIT企業で働くエンジニアにとって武器となる資格です。特にエンジニアとしてスキルアップを目指したい方は、CCNAを取得しておくと有利になる可能性があります。


CCNAを取得するメリット

人気の資格とはいえ、今後の業務に役立てることができなければ意味がありません。ここでは、エンジニアとして仕事をしていく上でのCCNAのメリットについて解説します。

ネットワークに関する基礎知識が学べる

ネットワークの基礎知識や業務に必要なシスコ機器に関する知識が理解できていなければ、CCNAの資格取得は困難です。つまりCCNAを取得することで、ネットワーク業界で働くための知識が一通り身に付けられると言えます。

導入率の高いシスコ製品に詳しくなる

業界で高いシェアを誇るシスコ社の製品に関する知識は、ネットワーク関連の業務を行うエンジニアにとって不可欠であると言えます。シスコ機器に詳しくなることは、今後のキャリア形成に役立つこと間違いありません。

CCNA試験では、当然ながらシスコ社の機器に関わる出題も多く、それに対する勉強にも時間を割くことになります。もちろん試験を受けることの目的はCCNA取得ですが、合格への対策を講じることで、世界的に有名なシスコ製品の知識を深められる良い機会であるとも言えます。

自身のスキルチェックになる

すでにIT企業でネットワーク関連の業務に従事している方にとっては、CCNA取得にチャレンジすることで自身のスキルチェックが可能です。実務経験のある方がCCNAに挑戦すると、基礎知識がより確実になり、キャリアアップにもつながりやすくなります。

参考書や問題集を活用して資格取得に向けた勉強することで、ネットワーク関連の知識を体系的に学ぶことができます。また、実際に行っている業務だけでは身に付かない知識や忘れがちな知識を確認することも可能です。

就職・転職に活かせる

CCNAを取得していると、第三者から「ネットワークの基礎知識を持つ」と判断されやすくなります。そのため資格を持たないエンジニアと比較した場合、書類選考を突破し面接の機会を獲得する確率が高まるはずです。資格を取得しておくことで、ある程度の評価を得られる可能性もあります。

またCCNAはインフラエンジニアの登竜門の資格として位置づけられているため、IT業界での経験が浅い方がネットワークに関わる知識を深める上でも適した資格です。もちろん現在エンジニアとして業務を行う方も、力試しのつもりでチャレンジするのもおすすめです。


CCNA試験の概要

かつてのCCNAは分野ごとに細かく分けられ、2020年の改定以来は「200-301 CCNA」のみになっています。ここでは「200-301 CCNA」がどのように行われるのか、2023年段階の特徴などについてご紹介します。なお、今後改訂が行われる可能性もありますので、最新情報は必ず公式のものをチェックしてください。

受験要件

CCNAを受験するにあたって、条件は特にありません。ただし13歳未満の方は受験・認定資格取得は不可、13~17歳の方は保護者などの同意があれば受験・資格取得が可能である旨が公式サイトにて示されています。

開催時期・試験会場

CCNAは随時申し込みが可能です。所定の機関を通して申し込み手続きができ、日程も自由に選択できます。

全国各地に会場があるため、比較的居住地に関わらず受験できるでしょう。

試験時間・問題数など

試験時間は120分、パソコン上で解答する「CBT方式」で行われます。問題数は公表されていませんが、100問前後であると言われています。

難易度

2020年以前の試験では専門分野ごとに細かく分けられていましたが、現在はそれを統合し、「200-301 CCNA」として一本化されました。それに伴い出題範囲も広がり、ネットワーク関連の他セキュリティや開発に関わる問題も出題されるようになっています。

つまり、以前と比較すると試験の難易度は確実に上がっていると考えて良いでしょう。
なお、合格率は公表されていませんが、2020年の改訂に伴い試験の難易度が上がったことにより低下していると考えられています。

グレード

シスコ技術者認定資格には、以下のようなグレードがあります。このうち「アソシエイト」に該当するのがCCNAです。

  • エントリー:CCENT
  • アソシエイト:CCNA
  • プロフェッショナル:CCNP
  • エキスパート:CCDE・CCIE
  • アーキテクト:CCAr

「エントリー」は入門レベル、「アーキテクト」は最上位の資格です。このグレードを見ると、CCNAは比較的易しいレベルの資格であると言えますね。

出題分野

主な出題分野は、ネットワークアクセス、IPサービス、セキュリティ関連などです。なかにはプログラム言語を使用したネットワークの管理・運用やネットワークの自動化など、システムの企画・開発に関する分野も出題されます。


CCNA合格を目指すための勉強の進め方

ここでは、CCNA試験の対策のために、勉強をいかに進めるべきかについてご紹介します。参考書や問題集の他、オンライン学習サイトの活用も検討し、自分に合う方法を見つけてください。

試験概要の確認

CCNAの取得を目指して勉強するなら、何と言っても最初に確認したいのが試験の概要です。これを把握していなければ、後の勉強効率が悪くなる可能性があります。受験要件や申し込み方法、出題範囲などをしっかり把握して効率よく勉強し、準備を進めることをお勧めします。

参考書や問題集を活用

「書き込みながら勉強したい」という方には、参考書や問題集を活用する方法がおすすめです。CCNA取得に関する参考書は非常に多く販売されているため、自身のレベルに合ったものが選びやすいというメリットもあります。

例えば、基礎から勉強し直す場合はネットワークに関する入門書、ネットワークに関する業務経験者の方は練習問題が多めのものを活用すると良いでしょう。

参考書を購入する際のポイントは、現在の試験内容や範囲に合わせた最新のものを選ぶことです。CCNAは2020年に試験内容や範囲が大幅に改定されているため、古いものを購入してしまうと効率的な学習ができません。その点に注意して書籍を購入しましょう。

オンライン学習サイトを活用

インターネット上でさまざまなIT系資格の試験対策ができる、学習サイトを活用するのもおすすめです。CCNAの問題も数多く用意されており、無料で利用できるものもあります。

テキストを見て学ぶものの他、動画で学ぶことができることができるサービスもあるため、好みのサービスを利用しましょう。オンライン学習サイトの活用は、スマートフォンやタブレットがあれば通勤通学など、隙間時間にも受験勉強を進められますよ。

公式サイトのレクチャー動画を活用

シスコ社の公式サイトには、認定資格試験のレクチャー動画が用意されています。問題の種類や解答の仕方などを紹介しているため、受験前に一度確認しておくと良いでしょう。

CCNA試験はパソコンを使って行われます。その内容は選択問題の他、コマンド入力、ドラッグ&ドロップ式などで通常の試験のような筆記試験ではありません。そのためこの動画を確認して、実際の試験のイメージを掴んでおくことも試験対策の一つであると言えるでしょう。

経験によって勉強の仕方が異なる

CCNA試験に合格するための勉強法は、知識やスキルによっても異なります。IT関連の技術を学ぶ学生や、企業でエンジニアとして業務を行っていた経験のある方などは、ネットワークの知識がある方も多いでしょう。しかし実務(作業)と関連付けられるかという点がネックとなります。そのため、ネットワークの基礎を再度学び直し仕組みを理解しておいたほうがより合格に近づけるでしょう。

一方、ネットワークに関する業務経験のある方は一から勉強し直すというよりは、苦手分野やあまり経験のない分野に絞った勉強、つまり受験対策を集中的に行うと良いでしょう。


CCNAを活用するポイント

ここではCCNAを活用するポイントをご紹介します。

転職に有利とは限らないことを念頭に置く

ネットワークの知識を持つエンジニアとして活躍するにあたり、メリットの多いCCNA。しかし、資格を取得しても、実際に業務に活かせるレベルでなければ就職や転職に有利にならない可能性もあります。

また、ネットワークエンジニアの業務は多岐に渡ります。そのためシスコ社製機器に重きを置いた資格であるCCNAは、企業によってはそれほど重視されない可能性もあるでしょう。

つまり「シスコ社製の機器に長けているエンジニア」よりも「経験が豊富で幅広い知識をもつ、何でもできるエンジニア」を企業が求めている場合、年齢などにもよりますがCCNAを役立てられない場合もあります。「CCNAを持っていて当たり前」という風潮のある企業では、この資格が強みにならない可能性もあるでしょう。

そうは言っても「経験があるか未経験か」「同じ業界でもその資格を求めている企業なのかそうでないのか」の違いは、他のどのような資格でもあること。資格を得るために勉強すること自体が自身のスキルアップにつながると考え、チャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。

資格の失効に注意

CCNAは、一度に合格すれば永久に資格が保持できるわけではありません。CCNAには有効期限があり、その期間は3年です。3年を過ぎると資格を失ってしまうため、保持したい場合は資格更新の手続きを行う必要があります。

資格を更新する具体的な方法は、再度CCNAを受験し合格するか、CCDPなどより上位の資格に合格する必要があります。つまりシスコ社の技術者認定資格を保持するには、勉強を続け、3年ごとに試験を受ける必要があるということになります。


まとめ

CCNAはシスコ社による認定資格の一種です。CCNAを取得すると、ネットワークアクセスやIP接続、およびサービスの他、ネットワークセキュリティなどの分野に関する技能を持つことが証明できるでしょう。

その他シスコ社が認める資格であるだけに、シスコ機器に関する知識を問う問題も多く出題されます。そのため、この資格を取得することで、シスコ機器の詳しさもアピールできます。就職や転職にも有利に働きやすいため、IT企業での業務経験を持つ方にも、これから活躍したい方にもおすすめの資格です。

この記事を書いた人

株式会社アイエスエフネット

エンジニアと共に成長し続けるITインフラ企業です。

ITインフラエンジニアの育成に力を入れ、クラウドなど時代のニーズにあわせたソリューションを展開しています。また、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関係なく、あらゆる方々がやりがいをもって働くことができるダイバーイン雇用に取り組んでいます。

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