サーバーサイドエンジニアとは、サーバーを設計、構築して運用、保守などを行う仕事です。また、サーバー機器をラックに固定したり、機器をケーブルで繋いだりといった物理作業も含まれます。
サーバーには重要な情報が保管されているため、セキュリティー対策も重要です。また、今は仮想環境でシステムを構築することが増えているため、クラウドに詳しいサーバーエンジニアは重宝されます。キャリアの幅が広く、転職にも強いのもサーバーエンジニアの魅力です。
サーバーエンジニアを含むITインフラエンジニアの需要は、ITシステムを導入する企業の増加により年々高まり、インフラエンジニアの求人募集も増加傾向にあります。
この記事では、サーバーエンジニアの業務内容や魅力、取得すると有利な資格などを解説します。サーバーエンジニアの仕事について知りたい方や、未経験からの転職や就職を視野に入れている方にとって参考になれば幸いです。
▼目次
サーバーエンジニアとは
サーバーエンジニアとは、サーバーを1から設計、構築して運用と保守などを行う仕事です。サーバーエンジニアが手がける範囲は広く、担当するサーバーによって要求されるスキルや技能は異なります。
サーバーのみならず、WindowsやMac、LinuxやUNIXなどのOSやネットワーク全般に関する知識は、業務をこなす上で必要です。またサーバー管理はウイルスやハッキングなどの対策が重要なため、セキュリティーに関する知識を持つエンジニアには高い需要があります。
ネットワークエンジニアとの違い
ネットワークエンジニアは、ルーターなどのネットワーク機器を使うコンピューターネットワークの設計や構築、管理などを担当しています。
ネットワークの構築や管理などが仕事のネットワークエンジニアに対し、サーバーエンジニアはサーバーの構築や管理が仕事、という明確な違いがあります。
サーバーサイドエンジニアとの違い
サーバーサイドエンジニアとは、サーバーのデータ管理を担うエンジニアのことです。サーバー処理で必要なプログラムの開発や、運用および保守業務を担当します。近年はクラウドを利用する企業が増えてきていることから、サーバーサイドエンジニアもAWSやAzureなどを扱うスキルや知識が必要です。
サーバーサイドエンジニアは構築済みのサーバーでの開発や対応が業務のメインであり、サーバー自体の構築や保守が担当であるサーバーエンジニアとは業務内容が異なります。
サーバーエンジニアの業務内容
サーバーエンジニアの業務内容は大きく分けて4つです。
- 設計
- 構築
- 物理作業
- 運用と保守
設計
設計では、サーバー構築に必要なサーバー台数やネットワーク回線の速度、利用電源の容量などを決めていきます。これらの作業はプログラマーと相談しながら進めていきますが、同時にコストバランスが適切であるかもチェックします。
24時間365日、常に稼働することが前提であるサーバーは、そもそも障害が発生しにくいこと、仮にサーバーに障害が発生してもサービスへの影響を最低限にとどめて運用できることが大切です。
構築
構築では、設計図を元にサーバーを作り上げていきます。この段階ではOSのインストールやパラメータの設定、必要があればミドルウェアもインストールして設定します。使用するOSはWindowsやMAC、Linuxなど場合によって異なります。
サーバーの構築で重要なのは、設計図と実際の設定を一致させることです。パラメータの数値が少し違うだけでも、不具合や障害の原因になりえるのが理由です。
物理作業
サーバーエンジニアの特徴として、業務内容に物理作業を含む点が挙げられます。サーバー機器をラックに固定するラッキングや、サーバーと電源および他の機器とつなぐ配線(ケーブリング)が主です。
ラッキングにおいては、今後のメンテナンスのしやすさも考慮しながら設計しなければなりません。ケーブル配線も、レイアウトやスタッフの動線などへの配慮が必要です。
運用と保守
サーバーの運用と保守は、機器の設定を見直したりシステム障害へ対応したりします。障害が発生する主な原因は、ハッキングやサーバーダウン、エラーです。
他にもバックアップやセキュリティーを見直して、更新するのもサーバーエンジニアの仕事です。
また、クライアントが自社でシステムを維持できるように、相談窓口の役割を担うこともあります。
サーバーエンジニアの魅力
サーバーエンジニアとして働く魅力を、主に3つピックアップしました。
- スキルアップできる
- 転職してもスキルが活かせる
- キャリアの幅が広い
社会インフラの1つとして重要な役割を果たす以外に、自分自身のキャリアにも有益であることがわかります。
スキルアップできる
サーバーエンジニアは、常に最新のIT技術に触れる環境に身を置きます。OSの中でもLinux系は、無料で提供されているものが多いため、入手しやすく、スキルアップが図りやすいと言われます。
またサーバーエンジニアはトラブルへの対応も業務の1つです。何度も経験するうちにトラブルへの対処の仕方や人とのコミュニケーションの取り方、未然に防ぐ方法などを考える力が身につきます。
転職してもスキルが活かせる
サーバーエンジニアはクライアントの業種に左右されにくい仕事です。業務用のシステムであれば職種によって仕様が違いますが、OSは原則、どの環境でも共通しているのが理由です。
また、OSやネットワークだけではなく、周辺機器の知識も身につきます。そのため、サーバーエンジニアとして培った技術や技能を自分の強みとして、転職先でも活かすことができます。
キャリアの幅が広い
意欲次第で、キャリアの幅を広げられるのもサーバーエンジニアの魅力です。
例えば、サーバーエンジニアとしてスペシャリストを目指したり、データベースエンジニアやセキュリティーエンジニアに転身して、より多くの経験を積むということができます。
そのためには努力が必要ですが、自分の意志で可能性を広げることができます。
サーバーエンジニアの大変なこと
サーバーエンジニアとして働く上で、大変だと言われやすいことを3つ紹介します。
- 監視業務の責任が重い
- 夜勤やシフト勤務が必要
- 学び続ける姿勢が求められる
監視業務の責任が重い
サーバーエンジニアはサーバーが正常に動いているかを24時間365日、交代制で監視しています。障害が発生した時には、すぐに対応しなければなりません。ときには自分のミスではなくても周囲から叱責されることもあります。
サーバーエンジニアとして働く上で、体調管理だけではなくメンタルのケアも重要です。
夜勤やシフト勤務が必要
夜勤の監視業務の他にも、交代制のシフト勤務があります。体調を含めた自己管理が求められます。
職場の環境にもよりますが、ストレスを溜めやすいと感じる方もいます。そのためストレスとうまく付き合う方法を、自分なりに見つけていくことも大切です。
学び続ける姿勢が求められる
評価されるサーバーエンジニアは、常にスキルアップを図っています。
特に、今後のサーバーエンジニアにはプログラミング、セキュリティー、クラウドへの理解が求められます。また、プロジェクト管理ができることも評価されるポイントの1つです。
そのため、積極的に知識や技術をアップデートすることを意識すると良いでしょう。
サーバーエンジニアに必要な知識
サーバーエンジニアに求められる知識は主に3つです。
- OS
- セキュリティー
- プログラミング
OS
サーバーの構築や運用に用いるOSはWindows、Mac、Linux、UNIXです。これらのサーバーOSに関する知識は基礎部分であり、特にLinuxやUNIXはサーバーOSの中でも多くの現場で採用されているため、基本的な操作はおさえておくことをおすすめします。自宅で学習するときは実際にLinuxをインストールすると、より深く理解できます。また、サーバーで使用するソフトについても知っておくとよいでしょう。
セキュリティー
サーバーには企業や個人ユーザーの重要な情報が保管されているため、ハッキングやウイルスなどへの対策が必要です。ですから、セキュリティーマネジメントやファイアウォール、セキュリティーソフトの知識を頭に入れておきましょう。
また、サイバー攻撃は常に進化し続けています。そのため、サーバーエンジニア自身も最新のセキュリティー技術を身につけていくことが重要です。
プログラミング
これからのサーバーエンジニアは、プログラミングのスキルも求められます。AWSやAzureといったクラウド技術の発展に伴い、プログラミングが必要になるシーンも増えてきたのが理由です。
クラウドの設定はプログラミング言語を用いて行うため、ツールに合わせた言語を習得しなければなりません。
以下、サーバーエンジニアに適しているプログラミング言語を7つ挙げました。
- Java
- JavaScript
- Python
- Ruby
- PHP
- Go
- Scala
これらの言語を扱えるようになれば、転職・就職で有利になるでしょう。
サーバーエンジニアに活かせる資格
サーバーエンジニアに活かせる資格を4つピックアップしました。
- LPIC
- LinuC
- MCP
- CCNA
いずれの資格も、取得しておくと実務経験の有無にかかわらず知識やスキルがあると証明でき、面接でも自信を持ってアピールできます。
また、試験対策を通してサーバーエンジニアに必要な基礎知識が身につくため、未経験からの転職や就職を考えている方は積極的に取得を目指してみましょう。
LPIC
LPIC(エルピック)はLinux技術者認定試験と言い、Linuxを扱う技術者としての能力を認定する試験です。資格は世界基準であり、活躍の場を国外へも広げることができます。
特にLinuxはコマンドで操作するシーンが多いため、試験勉強の際には自分のパソコンにLinuxをインストールして実際に動かしてみることが大切です。
難易度に応じてレベル1~3まであり、取得するときはレベル1から始めます。サーバーエンジニアとして仕事をするのであれば、Linuxへの知識を持っておいて損はありません。
2020年からは自宅にいながらオンラインでも受験できるようになりましたが、条件が設けられているのであらかじめ確認しましょう。
LinuC
LinuC(リナック)も、Linuxの技術者として必要なスキルを持っていることを証明できる資格です。ただし、LinuCは日本市場のニーズに最適化されたものであることに注意してください。
LinuCはエンジニアとして必要なリテラシーや、仮想環境上でのシステム構築などを身につけるのに適しています。
エンジニアとして働く上で、取得しておくと良い資格と言えます。
MCP
MCPとは、Microsoft社の製品に関する知識やスキルを認定するベンダー資格の総称です。
サーバーエンジニアに役立つ試験としては、Azure Fundamentals(アジュール ファンダメンタルズ)やAzure Administrator Associate(アジュール アドミニストレーター アソシエイト)があります。
Microsoft社の認定資格の1つにMOSがありますが、この資格はオフィスソフトを扱う上での知識やスキルを備えていることを証明するものです。MCPと混同しないように注意しましょう。
CCNA
CCNAは、アメリカのネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズ社が実施している資格です。
CCNAで出題されるのは、ネットワークの基礎からIPコネクティビティ、セキュリティーの基礎です。また、シスコシステムズ社のルーターやスイッチの操作コマンドについても出題されます。
ネットワークそのものを構築、運用するのはネットワークエンジニアです。ですが、サーバーエンジニアがネットワークに関しても深い造詣を持っていると、就職や転職の際にアピールポイントになります。
CCNAの上位資格であるCCNPは応用問題が多く、出題範囲にネットワークインフラやセキュリティー、仮想化などを含みます。
まとめ
サーバーエンジニアとは、サーバーの設計と構築、運用や保守などをおこなう技術者です。監視業務の責任が重く、深夜や休日出勤が求められることは難点ですが、転職してもスキルを生かせる点や、選択できるキャリアの幅が広いことは魅力です。
サーバーエンジニアはサーバーOSやセキュリティーへの知識が必要ですが、今はクラウドやプログラミングのスキルを持つサーバーエンジニアの需要が高まりつつあります。
未経験からの就職や転職にあたっては、資格の取得を検討してみましょう。試験対策を通してサーバーエンジニアに必要なスキルが身につくだけではなく、実務経験がなくても面接時にアピールポイントとして自信を持って臨めます。
最後になりますが、IT技術は常に進化し続けています。そのことを念頭に置いて、自分自身をアップデートすることも忘れないようにしましょう。