
「営業」という選択肢が、私を大きく変えてくれた
私は現在、東海営業本部と西日本営業本部の統括を担当しています。営業としてのキャリアを歩み始めたのは、20代後半のことでした。もともとはテレビ局で撮影スタッフとして働いており、技術を身につけることに強い興味がありました。当時は女性撮影スタッフがまだ少なく、現場は男性社会。7年間続けてきましたが、どれだけ頑張ってもなかなか道が開けない――そのような閉塞感をもっていた時期がありました。そうしたときに、たまたま目に留まったのが、ミュージカル劇団の営業職の募集。「営業なんてやったことがない。でも、なんだか惹かれる」と思い、思い切って飛び込んでみました。
営業先は法人や労働組合、自治体など。作品を観たことすらなかった私に、面接担当の方が「それが逆に新鮮でいい」と、採用されました。テレビ局で身につけた対応力やコミュニケーション力が、営業の現場でも役立つと感じることが多く、自然とこの仕事にのめり込んでいきました。
ある日、お客様がミュージカルを鑑賞した後、涙ながらに「遠津さんとご縁がなかったら、こんな素晴らしいものには出会うことはなかった。本当に感動した、ありがとう。」と言ってくださって。この瞬間、「本当にやってきてよかった。こんな喜びを感じられる仕事は営業しかない。」と心から思えたんですね。これが、営業という仕事を続けていく原点になりました。
アイエスエフネットで、キャリアは大きく広がった
結婚・出産を経て、6〜7年間は専業主婦として子育てに専念しました。そして2017年、末っ子が6歳になったタイミングでアイエスエフネットに入社しました。きっかけは、アイエスエフネットにいた知人の紹介。いわゆる「リファラル採用」ですね。
入社面接では、当時の静岡支店長が対応してくれたのですが、あのときの柔らかな雰囲気や人柄が大きな決め手になりました。それまで私が出会ってきた上司は「黙ってついてこい」タイプが多かった。でもアイエスエフネットは違いました。「この人のもとで学びたい」、そう思い入社に至りました。
入社後はまず、常駐しているエンジニア一人ひとりに会いに行くことから始めました。リストを作成し、ノートを手に、現場に足を運び続けました。時におせっかい営業と思われていたかもしれませんが、その積み重ねでお客様から「エンジニアが変わったね」と言われるようになりました。会社の存在感も高まり、エンジニア自身の帰属意識も変化が見えるように。それが私の営業としての手ごたえであり、信念のベースになっています。

営業組織をつくることは、人の成長を支えること
営業本部長としての今の私の仕事は、売上や数字のマネジメントだけではありません。一番大きな役割は「人を育てること」だと感じています。特に営業部門は、新卒や若手、入社して間もないメンバーも多く、経験の浅さゆえに行動を起こすのに躊躇してしまうこともあります。
「なぜ訪問件数が少ないのか?」「どうすれば行動できるのか?」と、一緒に“なぜ”を掘り下げながら考えていきます。かつてのような精神論で背中を押しても、それだけでは届かない。だからこそ、寄り添い、伴走するスタイルを大切にしています。
皆さん、とても素直で謙虚です。しかし、失敗を恐れる世代であるようにも感じています。だからこそ、自分で動いてみて「できた」という体験を積ませてあげたい。一人ひとりの人生を見ているつもりで、時間をかけてでも、その人の強みを見つけ、自信を持たせてあげる。それが、私が目指す“組織づくり”です。
経験者リーダーの採用で、組織はさらに進化できる
私が営業リーダーの採用を積極的に進めているのは、今の組織に外の視点を取り入れたいと思っているからです。私自身、これまでの経験から物事を語ることはできます。しかし、他の会社や業界でのやり方、考え方を持っている人が加わることで、「そのようなやり方もあるのか」と気づかされることが本当に多いです。
最近では、IT人材会社出身でパッケージ商材の販売を経験された方が入社し、効率的な営業提案や工数のかけ方に関するアイデアをたくさん出してくれました。経験者が加わることで、組織の視野は一気に広がる。それを肌で感じています。
また、今のメンバーにとってもよい刺激になります。「自分ももっとできるかも」と思わせてくれる存在。それが経験者採用の最大の価値だと思います。
リーダーになることは、演じること
私がリーダーとして大切にしているのは、「演じる力」です。もともと私は末っ子気質で、感情が表に出やすく、やりたいことに突っ走るタイプ。しかし、組織のトップに立った今、それだけでは務まりません。私個人の素養ではなく、「的確な判断」「物事を俯瞰してみる力」「メンバーに寄り添う心」。管理職という鎧をかぶり、意識的に“演じる”ことで、結果的にチームがうまく回ると考えています。
リーダーになる前、私は一般社員からいきなり支店長に抜擢されました。正直、プレッシャーも大きかったです。自分にできるのか、何が正解なのか、毎日悩みました。それでも、分析や戦略思考に長けた他拠点の支店長やグループリーダーが助けてくれて、自分の弱みを打ち明けられる仲間がいることで、乗り越えることができました。
「自分の弱みは、得意な人に頼ればいい」
この考え方をもてたことで、私は大きく変われたと思っています。
幹部やリーダーには、ISC・DSP・ホスピタリティをベースとしながら、相手にビジョンを示し、チームを一つの方向に導ける力が必要だと考えています。感情ではなく、的確な判断。主観ではなく、俯瞰。――それが、今の私のリーダー像です。