高収入が得られる仕事として注目が高まっている、AWSエンジニア。AWSエンジニアはクラウドサービスを中心に設計や開発を行う職業ですが、一般的なクラウドエンジニアとは求められるスキルや知識に細かな違いがあります。
世界随一のシェアを誇るAWSに特化したスキルと知識を持つエンジニアは、今後もニーズや需要が高まっていく可能性があります。そのため、AWSエンジニアの具体的な仕事内容や年収の相場に関して、気になっているエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、AWSの概要をはじめ、AWSエンジニアの基本的な仕事内容や年収相場、向いている人の特徴などについて詳しく解説します。
▼目次
そもそもAWSとは?
AWSとは、「Amazon Web Services」の略であり、大手通販サイトで広く知られているAmazon社が提供する開発者向けのクラウドサービスの総称です。現在世界で最も多く利用されているクラウドサービスといっても過言ではなく、さまざまな企業に広く利用されています。
具体的なサービスとして、ストレージを提供する「Amazon S3」や仮想サーバーを提供する「Amazon Elastic Compute Cloud」、データベースである「Amazon Aurora」などが挙げられ、幅広い分野をカバーしていることがAWSの特徴です。近年では、AIによる機械学習やブロックチェーン、IoTなどの分野のサービスの提供もはじめており、多くの企業が自社システムの構築にAWSを利用しています。
AWSエンジニアの基本的な仕事内容
AWSエンジニアとは、クラウド製品・サービスのなかでもAWSに特化した知識やスキルを持つエンジニアのことをいいます。基本的な仕事内容は、AWS環境の「設計」「構築」「運用」の3つです。ここでは、AWSエンジニアの基本的な仕事内容について、より詳しく解説します。
AWS環境の設計
AWSエンジニアは、AWSを使用して開発環境の設計を行います。一般的なオンプレミスで行う環境設計とは異なり、クラウドサービス上で設計を行うことが特徴です。クラウドサービスとオンプレミスの設計や開発方法には共通点が多いですが、クラウド特有の特性を理解し、拡張性や可用性を意識した継続的なシステム最適化が重要ですクラウドサービスに適した設計ができないと、環境の性能が低下する恐れがあるため、AWS環境の設計は非常に重要です。
また、オンプレミス環境を既に持っている企業であれば、AWSと連携した運用の企画も考える必要があるため、広い視点を持って設計することが求められます。
AWS環境の構築
設計が完了したあとは、AWSのさまざまなサービスを組み合わせて必要なインフラを実際に構築していきます。AWSには、データベースやデータ保存、コンテンツ配信やセキュリティ、サーバー環境の構築やプログラムの実行環境など、インフラを開発するための機能が100種類以上備わっています。AWSエンジニアは、これらの機能を適切に組み合わせ、円滑に開発と運用ができる環境を構築することが仕事です。
開発環境と本番環境に差がある場合は、システムの開発効率やソフトウェア品質などに影響します。そのため、環境の構築を行う際は、本番も意識しながらやることが重要です。
AWS環境の運用
AWSエンジニアは環境の設計と構築だけでなく、実際に構築したAWS環境の運用も求められます。AWS環境の運用では、機能のアップデートやセキュリティ、サーバーの増設など、構築した環境が正常に動作しているか監視することが主な業務です。運用における業務は多岐にわたるため、AWSエンジニアとしてのスキルや経験によって担当する役割が異なります。
そのため、AWSエンジニアとしての業務を増やしていくためには、さまざまな仕事に対応できる深い知識と優れた能力を身に付けることが大切です。
AWSエンジニアとインフラエンジニアの違い
「AWSエンジニアとインフラエンジニアの仕事は似ている」と思う方もいるのではないでしょうか。環境の設計や構築、運用などを行う点では、AWSエンジニアもインフラエンジニアも同じです。しかし、両者には習得している知識に違いがあります。
AWSエンジニアは、インフラエンジニアの中でも、AWSを扱うことができるエンジニアをさします。ルーツは同じですが、AWSエンジニアにはより専門的な知識やスキルが求められます。インフラエンジニアが主にオンプレミスで環境を構築するのに対し、AWSエンジニアはクラウド環境でも同様に設計・構築ができ、オンプレミスとクラウドの両方で最適なソリューションを提供できる知識と能力を有しています。このため、AWSエンジニアはより広範な業務に携わることが可能です。
こういった理由から、AWSエンジニアは一般的なインフラエンジニアよりも高い収入を得られることが多いと考えられています。
AWSエンジニアの年収
AWSエンジニアの収入は、エンジニアとしての知識やスキルによって左右されます。全体で見ると500万円〜1,000万円と幅がありますが、企業に勤める正社員のAWSエンジニアの場合は、平均して約580万円が年収の相場です。一般的なエンジニア全体の平均年収が約540万円といわれているため、AWSエンジニアの方が年収が高いことが分かります。
エンジニア全体の平均年収は、他の業界と比べても高い水準です。AWSに特化した専門知識が求められるAWSエンジニアの場合、さらに年収が高くなる傾向にあります。なお、フリーランスでAWSエンジニアをする場合は、平均して年収約800万円〜900万円になるケースが多いです。しかし、フリーランスは本人の経験やスキル、実績などによって収入が大きく増減するため、正社員ほどの安定性は得られない可能性があります。
これからAWSエンジニアを目指す場合や転職する場合は、育成方針や育成環境が整っている会社を選ぶことで、自分のスキルを伸ばしていけるでしょう。
AWSエンジニアの年収が高い理由
AWSエンジニアの年収は他のエンジニアや他の業種と比べても、高い水準を維持しており、今後はさらに上昇する可能性があります。ここでは、AWSエンジニアの年収が高い理由を紹介します。
AWSのシェア率が高いから
AWSはクラウド市場で約33%のシェア率を誇る、世界1位のクラウドサービスです。各業界からの信頼度が高く、世界中の大企業が積極的に採用していることから高単価の案件が多いです。AWSに特化したエンジニアは他のエンジニアに比べて求める企業の割合が多いため、平均年収が比較的高い傾向にあります。
AWSは規模が大きく、今後も拡大していく可能性があるため、AWSに必要な知識やスキルを身に付けることができれば、さらに高収入を目指すことが可能です。
優秀な人材が不足しているから
IT業界では慢性的な人手不足が発生していますが、AWSに特化した専門的な知識やスキルが必要なAWSエンジニアはさらに不足傾向にあります。オンプレミス中心で開発を行なっている企業のなかには、AWSに移行したいと考えている企業も多いです。しかし、実際にAWSを使いこなせるだけのスキルを持ったエンジニアが不足しているため、思うように移行できないという現状があります。
AWSエンジニアは企業としても優先的に確保したい人材であることから、一般的なエンジニアより高い給与が提示されることが多いです。AWSエンジニアの需要は高まる傾向にあるため、今後はより高い給与水準になる可能性があります。
将来性があるから
AWSエンジニアの平均年収が高い理由として、クラウド産業の将来性の高さが挙げられます。日本ではクラウドサービスを利用する企業が年々増えており、現在では7割程度に到達しているといわれています。これまでは自社でサーバーやネットワーク機器を用意する必要がありましたが、クラウドであればすべてオンライン上で完結するため、機器にかけるコストを削減できます。
クラウドサービスは企業にとっても多くのメリットがあることから、今後もそのニーズは伸びることが予想されており、高い将来性があるといえるでしょう。AWSの需要がある限りAWSエンジニアの需要も継続していくため、安定して高収入が得られる可能性があります。
AWSエンジニアに向いている人の特徴
AWSエンジニアは高収入を目指せることから、やってみたいと思う人も多いです。しかし、AWSエンジニアは特殊な職業であることから、向き不向きもあるため、注意が必要です。ここでは、AWSエンジニアに向いている人の特徴を3つ紹介します。
問題解決能力がある
AWSエンジニアは、システム障害やバグ、不具合などが発生した際は迅速に原因を特定し、適切な対応をする必要があります。また、チームやクライアントから要望があった場合は、最適な解決策を提案することも求められるため、高い問題解決能力が必要です。環境の設計や構築、運用などでは、予想しないイレギュラーが発生することが多いため、問題の分析をして、広い視点で解決策を考えられる人がAWSエンジニアに向いているといえます。
常に学習する意欲がある
AWSでは現在100種類以上のクラウドサービスが提供されており、その数も年々増加傾向にあります。新たなサービスやアップデートがある場合は、その都度新たな知識やスキルを習得して開発環境やシステムに反映していかなければならないため、常に学習する意欲が必要です。日頃からアンテナを張り、最新情報を取り入れて学ぶ姿勢がある人は、AWSエンジニアに向いているといえます。
コミュニケーション能力が高い
環境の設計や開発、運用はエンジニア1人が行うものではなく、基本的にチームで協力しながら行います。業務を効率的かつ効果的に遂行していくためには、メンバー同士や部門間、クライアントなどと意思疎通が図れる高いコミュニケーション能力が必要です。自分の考えを正確に伝える能力、相手の話をしっかり理解する能力があればプロジェクトも円滑に進みやすくなるため、AWSエンジニアとして活躍できる場面が増えるでしょう。
まとめ
AWSエンジニアは、一般的なエンジニアより専門的な知識・スキルが求められることから、全体的に年収の相場が高い傾向にあります。現在は多くの企業でAWSを導入しているものの、実際に運用できる人材が不足しているため、AWSエンジニアの需要は常に高い状態です。
AWSは今後も規模を拡大していくことが予想されるため、AWSに特化した知識・スキルを身に付けておけば、高収入を目指せる可能性があります。
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