各企業でIT化が進んでいることから、エンジニアの対応範囲が拡大しています。そのため、それぞれの分野に特化したエンジニアがいます。この記事では、昨今需要が高いといわれる「クラウドエンジニア」と「インフラエンジニア」を比較します。
クラウドエンジニアは、インフラエンジニアの一部ではありますが、求められる人財やスキル、相応の資格がそれぞれ異なります。
▼目次
「クラウドエンジニア」と「インフラエンジニア」の違い
クラウドエンジニアは、インフラエンジニアの中でもクラウドに特化したエンジニアのことを指しています。対してインフラエンジニアは、ネットワークやサーバーの基盤となるインフラ全般に対応する必要があり、関連する資格や求められる人財が多少異なります。
関連する資格
クラウドエンジニアもインフラエンジニアも、実務のうえで必要な資格はありません。しかし、主に以下の資格を取得していることで、自身の能力を証明できます。
エンジニアの種類 | 関連する資格 |
---|---|
クラウドエンジニア | ● CCNA Cloud ● Google Cloud 認定資格 ● CompTIA Cloud+ |
インフラエンジニア | ● 情報処理技術者試験 ● Linux技術者認定試験 ● シスコ技術者認定 |
CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、シスコシステムズが実施している、ネットワーク技術を証明する試験です。Google Cloud認定資格はGoogle Cloudの機能をはじめ、プロジェクトのデプロイ、モニタリング、設計、実装、管理などの高度なスキル習熟を認定する資格です。またCompTIA Cloud+認定資格は、企業のクラウドテクノロジーを組み込み、管理・運用するためのスキルを認定する資格です。これらを取得するには高いクラウドの知識と経験が求められることになります。
業務内容、求められる人財
クラウドエンジニアもインフラエンジニアもサーバーやネットワークに関する業務を行います。よって基本の業務内容や求められる人財としては、非常に近いものがあると言えます。
ただし、幅広く対応を行うインフラエンジニアの場合は、インフラ全般の知見やスキルが必要であるのに対して、クラウドエンジニアの場合は、よりクラウド関連の業務に特化した知見やスキルが必要です。以下で詳しく見ていきます。
クラウドエンジニアの仕事内容
クラウドエンジニアは、さまざまなサービスコンテンツがクラウドを利用して浸透したことから需要が高まった仕事です。クラウド上におけるネットワークの構築から運用、さらには保守作業までも対応します。
クラウドの普及前は自社において、サーバーを管理する必要がありました。しかし、社外からでもアクセスでき、初期費用の負担が小さく、導入工事も不要なクラウドを利用する企業が増えたことで、クラウドエンジニアの需要が高まったのです。
クラウド上でのネットワーク構築や運用
クラウドエンジニアの仕事では、クラウド上にシステムを構築していくことがメインとなります。新規クラウド環境を構築することもありますが、オンプレミスからクラウドへの移行作業を行う場合もあります。ネットワークの構築には、データベースの構築やソフトウェアの導入などが含まれます。
ネットワークを構築した後の運用もクラウドエンジニアの業務です。オンプレミスほど導入に時間がかからないケースがクラウド上では多く、構築後の対応が大きな割合を占めるのが特徴です。
クラウドエンジニアに求められるスキル
クラウド上でのネットワーク構築から保守までを対応するのがクラウドエンジニアです。そのため、クラウドに関する知識はもちろん、サーバーやネットワーク、ミドルウェアなど幅広い対応が求められます。
サーバーの運用経験
クラウドエンジニアは、業務においてサーバーの構築から保守作業まで行います。そのため、サーバーの運用経験が求められます。元々サーバーエンジニアをしていた方が多いのはそのためです。
ネットワークの運用経験
オンプレミスの場合において、クラウドのネットワークを利用しているのであればクラウドエンジニアの担当範囲に含まれます。ネットワークの構築やネットワーク上でのトラブルシューティングの業務も多く、ネットワークに関連する知識や経験が求められます。
オンプレミスに関する知識
クラウドエンジニアがミドルウェアを使ってシステムを構築し、すでに運用しているオンプレミスでのシステムを移行することもあります。そのため、ミドルウェアやオンプレミスに関する知識も求められます。
コミュニケーション能力
クラウドエンジニアは、チームでの業務が一般的です。また、顧客のニーズを聞いたり、対応している内容を説明するといった、コミュニケーション能力が求められる機会が多い仕事です。いくら技術力があっても、コミュニケーション能力がなければ成果を出すことはできません。
インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアは業務において、サーバーやネットワークといった、IT業界における基盤となるものの設計や構築、運用や保守を手がけます。
ITシステムの要件定義にはじまり、必要機器の設置、ソフトウェアやネットワークの設定、システム稼働中の挙動監視やサポートなど、状況によりさまざまな業務が発生することになります。
新しいネットワークシステムを設計・構築
サーバーやネットワークの設計や構築をおこないます。サーバーにもメールサーバーやファイルサーバーなどの種類があり、それぞれに対応が必要です。またサーバー機器の設置や配線の設定などの業務もあります。
新しいネットワークシステムの運用・保守
サーバーやネットワークの運用、障害が発生した場合の保守作業を行います。これらは24時間稼働するのが基本のシステムであることから、24時間交代制で対応するケースが一般的です。
インフラエンジニアに求められるスキル
インフラエンジニアは業務において、サーバーやネットワーク、データベース、インフラ保守など幅広い範囲に対応する必要があり、その分求められるスキルも幅広くなります。さらに24時間対応が必要なことから、シフト制や夜勤での業務を求められることもあります。
ネットワークとサーバーに関するスキル
ネットワークやサーバーを扱うことがメインとなるインフラエンジニアには、ネットワーク構築や保守などのスキルや知識はもちろん、サイバー攻撃への対策やウイルス感染対策のスキル、セキュリティ関連の知識も求められます。
インフラ保守に関するスキル
サーバーやネットワークをはじめとするインフラに対して保守業務が発生します。サーバーやネットワークは常に稼働していることが一般的であり、保守作業も24時間対応となります。
データベースに関するスキル
データベース管理は、インフラエンジニア業務の1つです。そのためデータベースの設計や開発を任されることがあります。
シフト制や夜勤で業務できる体力
インフラエンジニアは、24時間対応であることが一般的で、シフト制や夜勤になることもあります。インフラエンジニアがきついといわれる理由ですが、その分、需要は多く、給与も高額になることが一般的です。
まとめ
クラウドエンジニアというのは、インフラエンジニア業務の1つの分野であり、クラウド対応に特化したエンジニアです。クラウドを利用したシステム、ネットワークの構築から保守作業まで行います。
設計、構築、運用、保守作業まで行うという点では共通ですが、インフラエンジニアは担当がインフラ全般であることと比較して、クラウドエンジニアが担当するのはクラウドにおいての設計や構築がメインとなる点が特徴です。そのため、よりクラウドに関連する業務に特化した知識やスキルが求められることになります。