IT業界についてどのような印象をお持ちでしょうか。
● 移り変わりが激しい?
● 常に革新的で情報に柔軟な対応が必要?
特に技術の移り変わりが激しい業界のため、ITエンジニアは安定しない職業と思われる方もいるのではないでしょうか。
今回はこのような疑問に対して、IT業界やITエンジニアの現状について解説します。
▼目次
DX化に向けたIT業界への需要の高まり
令和二年に、政府が後押しするDX化政策の一貫として「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が発表されました。社会の形成におけるデジタル活用から、その法整備などについての周知や、デジタル庁の設置、デジタル化(IT)と社会の融合された将来について記載されています。
参考:総務省- デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の概要
このように、政府主導で社会全体でデジタル化が進む中、IT業界としてはどのように変化しているのでしょうか。企業や組織はデジタル化の推進に対して、各種データの統計やクラウドコンピューティングの活用、新しいテクノロジーとしてAIなどを活用して競争力を高めようとしています。そのため運用や活用の場面においては、ITインフラストラクチャーの知識基盤を持ったITエンジニアの需要が急増している状況です。
ITエンジニアにおけるスキルセットの重要性と課題について
ITエンジニアの役割は多岐にわたり、ネットワーク、サーバに関する設計やWEBサービスなどにおけるクラウド環境の構築、それに対してのセキュリティの確保など、高度な技術と幅広い知識が必要となってきます。しかし、このような多方面で活躍できるエンジニアの供給は限られており、現在、ITエンジニアとしては絶対数が不足している状況です。
ITエンジニアが担う役割
ITエンジニアのなかでも、特にインフラに関わる業務について紹介します。これだけでも、DX化においてITエンジニアが担う役割が多岐にわたることが分かるでしょう。
ネットワーク業務
ネットワーク 設計 | 企業や組織のニーズに合わせてネットワークのトポロジー、プロトコル、セキュリティ要件などを考慮し、効率的かつ信頼性の高いネットワークインフラを構築します。 |
ネットワーク 構築と設定 | ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど)を設置し、接続や設定を行います。IPアドレスの割り当て、VLANの設定、ルーティングプロトコルの設定など、ネットワークの基盤を構築する作業を行います。 |
ネットワーク 監視とトラブルシューティング | ネットワークの稼働状況を監視し、問題や障害を早期に検出して解決する役割を担います。 トラフィックのモニタリング、パフォーマンスの最適化、ネットワーク障害のトラブルシューティングなどを行います。 |
セキュリティ対策 | ネットワークのセキュリティ対策を担当します。 ファイアウォールや侵入検知システムの設定、VPNの構築、アクセス制御の設定など、ネットワークのセキュリティを強化するための取り組みが含まれます。 |
ネットワークのアップグレードと拡張 | ネットワークのセキュリティ対策を担当します。 ファイアウォールや侵入検知システムの設定、VPNの構築、アクセス制御の設定など、ネットワークのセキュリティを強化するための取り組みが含まれます。 |
サーバ業務
サーバ設計と 構築 | 企業や組織の要件に基づいてサーバの設計と構築を行います。 サーバのハードウェア選定、オペレーティングシステムのインストール、必要なソフトウェアのセットアップなどを行います。 |
サーバの保守と管理 | サーバの日常的な保守と管理を担当します。 これには、パッチ適用、セキュリティ設定、ユーザー管理、データのバックアップと復元、パフォーマンスの監視などが含まれます。 |
サーバの仮想化とクラウド化 | 近年、仮想化技術やクラウドコンピューティングの普及により、サーバエンジニアは仮想化環境やクラウドプラットフォーム上でのサーバ展開や管理を行うことがあります。 仮想マシンの作成、リソースの管理、スケーリングなどが業務に含まれます。 |
サーバのセキュリティとアクセス制御 | サーバのセキュリティを確保するための対策を実施します。 これには、ファイアウォールの設定、アクセス制御リストの管理、脆弱性のスキャンと対応などが含まれます。 |
サーバのモニタリングとトラブルシューティング | サーバのパフォーマンスを監視し、問題のトラブルシューティングを行います。 リソースの使用状況のモニタリング、ログの分析、障害の復旧などが業務に含まれます。 |
サーバのアップグレードと容量計画 | ビジネスの成長や需要の変化に応じて、サーバのアップグレードや容量計画を行います。 これには、ハードウェアの追加や交換、スケーリングの計画、負荷テストなどが含まれます。 |
セキュリティ業務
セキュリティに関するポリシーの策定 | 組織のセキュリティポリシーとガイドラインを策定します。 これには、情報セキュリティの目標や基準、セキュリティに関連する規則や手順の作成が含まれます。 |
脆弱性評価とペネトレーションテスト | システムやネットワークの脆弱性を評価し、潜在的な脆弱性やセキュリティホールを特定します。 また、ペネトレーションテストを実施してシステムの脆弱性を悪用した攻撃を模擬し、セキュリティの強化策を検討します。 |
セキュリティインシデント対応 | セキュリティインシデントやサイバーセキュリティ攻撃に対応するための計画を策定し、適切な対応策を実施します。インシデントの検知、調査、復旧、報告などが含まれます。 |
アクセス管理と認証 | システムやネットワークへのアクセス管理を行います。 これには、アクセス制御ポリシーの設計、アカウント管理、パスワードポリシーの策定、マルチファクタ認証の導入などが含まれます。 |
セキュリティ意識向上の活動 | 組織内でのセキュリティ意識向上活動を推進します。 従業員への教育・トレーニング、セキュリティポリシーの啓発、フィッシングやソーシャルエンジニアリングへの対策などが含まれます。 |
セキュリティツールとシステムの監視 | セキュリティツールやセキュリティシステムを導入し、ネットワークやシステムの監視を行います。 不正アクティビティや異常な振る舞いの検出、ログの分析、セキュリティイベントの識別などが業務に含まれます。 |
まとめ
ITエンジニアは、その需要の高まりに対して供給が追いついていないのが現状です。優秀なITエンジニアの確保が困難な状況では、企業間での競争が激化し、待遇や職場環境などで格差が生じています。そのような状況から、ITエンジニアは売り手市場が活性化しているといえるでしょう。
そして、今後も社会のDX化が進むにつれて需要は高まり続け、ITエンジニアの市場価値はさらに向上していくことが予想されます。こうしたことから、優れたスキルや経験を持つITエンジニアにとっては大きなチャンスであり、これから転職しようと考えている方にとっても、将来性が非常に高い職業といえるでしょう。
ただし、IT業界は常に革新的であり、新しい情報や技術の習得が欠かせない業界であることは否めません。忙しいなかでも継続的に自己研鑽を重ね、自分自身と市場を見極めたうえで、柔軟に立ち回れる気概がないと理想のITエンジニアになることは難しいかもしれません。