LPICは、多くの企業で導入が進むLinuxOSについて、熟知していることの証明となる資格です。エンジニアとして働く際、LPICを持つことが就職や転職で有利となりやすいことから、日本においてLPICは需要の高い資格と言われています。

インフラエンジニアの登竜門の資格とも言われ、有資格者を積極的に採用しているIT企業は顕著であり、LPIC取得者が多数活躍するインフラエンジニアの求人募集もあります。

本記事では、LPICが転職に有利と言われる理由や、LPICを持つとどんな評価を得られる可能性があるかなどを解説します。

需要の高い資格LPIC

サーバー分野で高いシェアを誇るOS「Linux」に関わる技術を認定する資格が「LPIC(Linux Professional Institute Certification)」です。国際標準の資格となるため、取得すると海外でもLinuxに関するスキルをアピールできます。

LPICには3つのグレード「LPIC-1(level1)」「LPIC-2(level2)」「LPIC-3(level3)」があり、それぞれ段階を踏んで受験しなければなりません。最上位にあたるLPIC-3に合格すると「実務にも応用可能となる、より高度な知識を習得していること」の証明になると言われています。

日本でのLPICの人気は特に高く、受験者数は現在も伸び続けています。この背景には、企業がLPIC取得者を必要としていることも大きく関係していると言われます。

LPICはLinuxの技能を証明できる資格

一般的に、OSと言えばWindowsやmacOSが知られていますが、現在企業で導入が進んでいるOSが「Linux」です。

Linuxには、オープンソースのため導入コストが低い、新たなOSの開発や自由なカスタマイズも可能であるという特徴があります。しかし、公式サポートが存在しないため、トラブル対応は各自で行わなければならず、一般的な周辺機器やソフトが作動しない可能性や、用語やシステムが独特で特別に習得する必要があることなどには注意が必要です。

これらLinuxの特徴を理解し、基礎から応用までの知識を駆使して運用していく技能を得たことを証明できる資格がLPICです。


LPICが転職に有利と言われる理由

エンジニアを採用するにあたり、多くの企業がLPICの有無を重視していたり、LPICを持っていると自身に合った求人を見つけやすく転職活動に有利であったりなど、LPICはエンジニアの転職にプラスに働くことが多い資格です。

ここからは、LPICが転職する際に有利に働く理由について詳しく解説します。

Linux関連の専門業務から日常業務までを担える

LPICを取得している場合、当然ながらLinuxに関する技術の証明になります。知識を持っているだけではなく、実務に役立つ基盤があることの裏付けとなる資格とも言えるでしょう。そのため、以下のような業務を行えることを企業側にアピールできる可能性があります。

  • サーバーやミドルウェアのインストール
  • パラメータの設定
  • データベースチューニング

また、上記のような専門的な業務ばかりではなく、ちょっとしたエラー対応やメンテナンスなど、日常的な業務にも知識を活かすことができます。

例えば普段使用しているLinuxツールにエラーが生じ、業務に支障をきたしてしまった場合、エラーに対応できるエンジニアがいなければ業者を呼んで対応してもらう必要があります。しかし、Linuxを熟知するLPIC保有者がいると社内で対応することが可能になり、場合によっては業務効率化にもつながります。

このように、LPICを持った人財を採用することで、企業側にはさまざまなメリットがあるため、転職に有利になる可能性があるのです。

未経験でも採用される可能性が高くなる

エンジニアは、転職の際に経験が重視される傾向にあります。しかし、未経験でもLPICを有していることにより、Linuxに関わる知識についてひと通り学習しているという証明になります。また、意欲の高さや熱意なども資格未所持の方に比べ評価されやすいです。

IT業界は他業種からの転職も多い業界です。実務経験者と比べてしまうと転職に有利であると言い難いところですが、同じ未経験者と比べると資格取得者の方が有利であると言えます。

経験者採用の決め手となる可能性がある

未経験と同様、経験者採用の場合にもLPICの有無は決め手になりやすいです。似たような実務経験の方が数名いた場合、企業側はよほどのことがない限り、資格を持つ方を選ぶ可能性が高いと言われます。

応募者にとって、資格は選考段階で一定以上のスキルを所持すること、資格を取得するだけの熱意と継続力を持つことのアピールにつながります。

企業にとって資格は応募者の資質を見極める基準になるほか、資格を持つ方を採用することで合否の理由が明確にできる点もプラスになります。

条件に合った求人が見つけやすい

求人情報の中には、求めるスキルについて明確に記載されている案件も存在します。例えば「LPICレベル2相当のスキルがあること」などです。

このような求人の場合、自身のスキルが条件に合っているかどうかは資格があれば迷わず応募できますが、資格がない場合は判断に迷うことになってしまいます。自己判断で応募して企業の求めるスキルとずれが生じた場合は、合格することができません。

スムーズに求人に応募し、内定を勝ち取るためには、LPICを取得しておいた方が選択肢が広がると考えられます。


企業の注目ポイントは?レベル別に紹介

LPICには3つのグレードがあります。それぞれのレベルで求められる知識は異なり、当然ながら上位になるに従い高度な技術を持つことの証明となります。

実際に業務を行ったり転職したりする上で、LPICはどのような評価につながりやすいのでしょうか。企業が注目しやすいポイントについてみていきましょう。

LPIC-1を取得している

LPICのなかで最も初級のレベルといえるLPIC-1を持つことで、以下のような知識を持つことの証明となります。

  • システムアーキテクチャ
  • Linuxのインストール・パッケージ管理
  • コマンド
  • 仮想マシンやコンテナ
  • シェル・シェルスクリプト
  • ネットワークの基礎
  • セキュリティ
  • Linuxディストリビューションの基本

以上はLPIC-1の「101」「102」の2つの試験で問われる分野で、資格認定を受けるにはどちらにも合格しなければいけません。この試験に合格することで、サーバー環境の構築・運用などに必要な操作とシステム管理など、実務に必要な基本的な知識が身についていると判断できるでしょう。

LPIC-1レベルに認定されることで転職に有利となる方は、主に未経験の方であると考えられます。IT業界は他業種からの転職も少なくありません。企業側も多様性やグローバル化を目指すために、さまざまな業種からの採用を増やし人財を育てる必要があります。

入社後に資格取得を目指す場合もありますが、すでに持っていることで採用されやすくなる可能性もあります。実務経験や学習状況などにもよりますが、現時点で上位資格を目指せる状態であることがアピールできればよりポイントが高まるでしょう。

LPIC-2を取得している

LPIC-2は、LPIC-1よりも確実に難易度が上がります。試験内容はより実務経験者向けとなり、ある程度の経験を積んだ方でも簡単には合格できないレベルです。

LPIC-2を持っている場合、以下のようなことを熟知していることの証明となり、Linuxシステムの構築や運用・管理のエキスパートとして認められることになります。

  • キャパシティプランニング
  • システム起動・Linuxカーネル
  • ファイルシステムとストレージ管理
  • ネットワーク構成
  • システム保守・運用管理
  • ドメインネームサーバ
  • ウェブサービス
  • ファイル共有
  • ネットワーククライアントの管理
  • 電子メールサービス
  • システムセキュリティ

LPIC-2には「201」「202」の2つの試験があり、資格認定されるには両方に合格しなければいけません。取得していれば、今後さらに実務経験を積むことによってLinuxをスムーズに操作できるエンジニアになれる可能性があることをアピールできるでしょう。

LPIC-3を取得している

LPICの最上位レベルがLPIC-3です。よりレベルの高い資格で、未経験での合格は困難だと言われています。

LPIC-3には4つの試験があり、それぞれに合格することでその分野における高度な知識の証明となります。4つの試験及び分野は以下のとおりです。

  • 300試験:混在環境(Sambaの知識、LinuxのID管理・ファイル共有など)
  • 303試験:セキュリティ(暗号技術、アクセス制御、脅威・脆弱性の評価など)
  • 305試験:仮想環境・コンテナ(完全仮想化、コンテナ型仮想化など)
  • 306試験:高可用性(HA)・ストレージ(高可用性クラスタ管理など)

特に303~306は応用問題が多いのが特徴です。直接実務につながる内容も多いため、LPIC-3の認定を受けていることで実務面での高い評価が得られる可能性があるでしょう。


LPICの取得は意味がない?

LPIC取得者が歓迎されるべき要素の多いIT業界ですが、この業界では実務経験も重要です。このことを踏まえると、実務経験が浅かったり未経験であったりした場合、LPICを取ることはあまり意味がないのではと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに経験のある方と未経験の方を比較した場合は、経験が重視されるかもしれません。しかし、未経験の方同士を比較した場合は、資格所持者が優先されるケースが圧倒的に多いと言えます。

未経験でも試験にチャレンジし、合格を勝ち取っていることで、エンジニアとしての基礎を理解していることや業務に対するポテンシャルの高さなどが評価されることもあり、特に若い世代ではその傾向が強いと言えます。実際即戦力としての採用ではなく、このような未経験者を積極的に採用している企業もあるといいます。

もちろん実務経験があるに越したことはありません。しかし、未経験や経験が浅いからといって資格を取ることに意味がないということはないのです。IT業界で活躍したいなら自身のスキルを試す、もしくは向上させるためにも資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


上位資格(LPIC-2・LPIC-3)は取得すべき?

LPICには3つのグレードがあり、LPIC-1~LPIC-3まで段階的に取得していくことが可能です。最上位のLPIC-3まで認定されれば、実務も含め相当なエキスパートとして重宝されるに違いありません。実際システムインテグレーターへのキャリアチェンジを希望する場合などは、上位の資格になればなるほどプラスになると言えるでしょう。

しかし、上位の資格は「持っていないよりは持っているほうが良い」程度の認識で、実のところは実務経験のほうが優遇される可能性があるのです。もちろん上位資格は実務にもつながる内容ではありますが、確実に即戦力となるのは実務経験のある方でしょう。

そのためLPICの上位資格を取得したいと考えた場合、実務経験を積んだ上で資格取得の準備を始め、合格を目指すのがより転職に有利に働くと考えられます。

前述したように、未経験や経験が浅い方であれば、LPIC-1の認定があるだけでも、転職に有利に働く可能性があります。そのような方は、実務経験を積みながら勉強を続けて上位資格を取得し、より高みを目指した転職に挑むのがおすすめかもしれません。


まとめ

Linux技術の証明となるLPICは、経験者か未経験者かを問わずIT業界への転職に役立つ可能性のある資格です。

LPICには初級レベルのLPIC-1を始め3つのレベルがありますが、段階的な取得が必須です。まずは基本的な知識の裏付けとなるLPIC-1を取得し、さらに上を目指す場合はLPIC-2、LPIC-3とより難易度の高い試験に挑むことになります。このようにして上位資格の取得者となった場合、Linux技術のエキスパートとして認められるのです。

しかし、転職によってエンジニアとしてステップアップしたいならば、上位資格を目指すと同時に実務経験を積むことも大切です。そのためLPIC-1を取得後は、上位資格を取得するための勉強を続けながら実務経験を積むことも考えていきましょう。

「上位資格+実務経験」を意識することで、ステップアップにつながる転職のチャンスを掴んでください。

この記事を書いた人

株式会社アイエスエフネット

エンジニアと共に成長し続けるITインフラ企業です。

ITインフラエンジニアの育成に力を入れ、クラウドなど時代のニーズにあわせたソリューションを展開しています。また、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関係なく、あらゆる方々がやりがいをもって働くことができるダイバーイン雇用に取り組んでいます。

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