ネットワークエンジニアとは、ネットワークの設計や構築、運用保守などを担うエンジニアです。社会インフラとしても重要であるネットワーク環境を維持するために、トラブルにも迅速に対応します。

未経験からの転職であっても問題なく働けるケースがほとんどですが、ネットワークに関する基礎は身につけておくべきです。そのため、勉強も兼ねて資格を取得しておくと面接でのアピールポイントにできます。

ネットワークエンジニアを含むITインフラエンジニアの需要は、ITシステムを導入する企業の増加により年々高まり、インフラエンジニアの求人募集も増加傾向にあります。

この記事では、ネットワークエンジニアの仕事内容や魅力、難点について解説しています。ネットワークエンジニアの仕事について知りたい方、転職を視野に入れている方へのヒントになるはずです。

ネットワークエンジニアとは

ネットワークエンジニアとはコンピューターネットワークの設計や構築、運用保守などを担う技術者です。主に、IT系コンサルティングファームやITサービスを提供している会社で活躍しています。

現代のネットワーク環境は社会インフラとしても重要で、障害が発生したときには企業だけでなく個人ユーザーにも大きな影響を与えます。そのため、設計や構築以外にもトラブルへの迅速な対応が求められます。

ネットワークエンジニアの将来性

ネットワークエンジニアの将来性は高いものの、クラウドサーバーのスキルを高めることが前提です。現在はAWSやAzureなどが普及しており、企業のインフラ構築もこれらのサービスへ移行しつつあります。また、リモートワークやオンラインサービスの増加に伴い、より強固なネットワークセキュリティーが求められている点にも注目すべきです。

このような状況から、「自社サーバーのみを担当するネットワークエンジニア」の需要は低下しつつある状況です。今後はクラウドサーバーの設計や構築、ネットワークセキュリティーに関する知識やスキルなどを身につけることを意識することが強みとなる可能性があります。


ネットワークエンジニアの仕事

ネットワークエンジニアの仕事は、大きく4つに分けられます。

  • 要件定義
  • 設計
  • 構築
  • 運用と保守

要件定義

ネットワークエンジニアの仕事の中でも、要件定義は特に重要な部分です。クライアントの要望を正確にヒアリングし、現行ネットワークシステムを分析した上で行います。相手の話に耳を傾け、意図を読み取ることを意識します。

設計

要件定義でまとめた内容をもとに、ネットワークの設計をします。設計の際にはシステムを構成する技術や製品の特性、導入事例を参考にしますが、事前テストを行うこともあります。

既存のネットワークシステムからリプレイスを行うときは、業務に差し支えないように移行計画を策定しなければなりません。この場合も、必ず業務内容をヒアリングします。

構築

構築は、実際の作業に入る前のスケジュール策定と作業内容計画を立てることから始め、ネットワーク機器の設置と配線、ソフトウェアのインストールや各種設定作業を行います。ネットワーク構築にあたって工事が必要になる場合は、スケジュールを調整します。

構築作業が完了したら、通信、ネットワークへの負荷、セキュリティーのテストをします。テスト結果を基に必要があれば修正し、すべての問題を解決できるまで繰り返します。

運用と保守

運用と保守で行うのは利用者からの問い合わせ対応や、不具合またはバグの原因究明と対処です。また、ネットワークシステムのアップグレード実施やバックアップデータの作成、復元も担当します。

不測の事態に備え、担当者以外のエンジニアも業務を行えるようにすることも大切です。そのためには、運用と保守に関するマニュアルを作成しておくことをおすすめします。トラブルへの対応に関しても同様です。


ネットワークエンジニアの魅力

ネットワークエンジニアには将来性が期待されていますが、それ以外にも魅力があります。

  • 未経験者でも働きやすい
  • 専門性が高い
  • リモートワークできる場合がある

未経験者でも働きやすい

エンジニアは理系の人材が向いていると言われていますが、必ずしもそうとは限りません。ロジカルに物事を考えることができ、必要なスキルを身に付ければ、未経験者でも働くことができます。

経験が浅いネットワークエンジニアは監視や保守に配属されることが多く、業務は内容を記載したマニュアルに従います。さらに監視から保守、運用、構築と段階を踏んでいくため、初心者や未経験者であっても、本人の努力次第でスキルアップすることが期待できます。

専門性が高い

ネットワークエンジニアは専門性が高い仕事です。なかでも最上位の設計を担当できるようになれば、スペシャリストとして手に職を付けられます。

また、1度ネットワークの基礎を覚えておけば今後もその知識と技術を活かすことができます。ネットワーク技術の根本は、はやり廃れがなく安定しているため、自身の強みとして長く活かせるのも魅力です。

リモートワークできる場合がある

ネットワークエンジニアは、リモートワークもできることがあるため働き方の幅が広がります。AWSやAzureなど、クラウド環境を取り入れる企業が増えてきたことが理由です。また、働き方改革によって今後はフルリモートで対応する企業が増えることも予測されています。

ただし勤務先や業務内容によっては、現場に常駐しなければならない企業もあります。


ネットワークエンジニアの大変なこと

常に安定したネットワーク環境を維持することを目的に、ネットワークエンジニアは交代制で運用、管理、保守を行っています。そのため想定外の状況に備えておく心構えが必要です。

以下に、ネットワークエンジニアの仕事において、大変だと思われやすいことを2つ挙げています。

  • 夜勤が求められることがある
  • スキルアップのために勉強の継続が必須

夜勤が求められることがある

監視業務は24時間体制でシフトを組むため、夜勤が珍しくありません。特に初心者や未経験者は、最初に監視業務から行うことが多いです。

また現場のエンジニアでは解決できないトラブルや通信障害が発生したときには、休日や深夜であっても担当者が出勤しなければならないことも。大規模な障害の際には解決するまで対応しつづけるケースもあります。

スキルアップの継続が必須

ネットワークエンジニアは、常に知識や技能をアップデートしていくことが重要です。初心者や未経験者は夜勤勤務からスタートするケースが多いものの、スキルアップできれば日中の勤務が多くなります。そのためには、自ら学ぶ姿勢が大切です。

今後、セキュリティーやクラウド、プログラミングの技術や知識がネットワークエンジニアに求められると言われています。スキルアップするには、これらに関係する資格取得や経験を積むと良いでしょう。


ネットワークエンジニアへの転職

ネットワークエンジニアへの転職は、未経験者であっても可能です。IT業界の人財不足が続いているのが主な理由ですが、事前に必要な技術や知識を身につけておいた方が圧倒的に有利です。勉強も兼ねて資格を取ることをおすすめします。

またクラウド技術に詳しいネットワークエンジニアはまだ少数であるものの、需要は高まっています。一般的なITエンジニアに求められるスキルや資格に加え、サーバーをはじめとするネットワーク、クラウド技術に関するものを学ぶと強みになりやすいでしょう。具体的には「ネットワークエンジニアとして役立つ資格」の項目でご紹介します。


ネットワークエンジニアに必要なもの

ネットワークエンジニアに必要なものを5つ挙げました。1、2はマインド、3〜5は能力やスキルです。

  1. 探究心
  2. 好奇心
  3. コミュニケーション能力
  4. 論理的思考
  5. 文章作成

探求心

探求とは、物事について深く知ろうとすることや、原因を解明しようとすることを意味します。ネットワークエンジニアは、システムの構築や技術に関する知識を身につけることが求められるうえ、不具合やバグへの対処には粘り強い姿勢が必要です。

物事の理屈や原理について考えたり、調べたりすることが好きな人はネットワークエンジニアに向いていると言えます。

好奇心

新しいデジタルデバイスやサービスなどをいち早く試したり、未知の食べ物を積極的に食べてみたりなど、好奇心の旺盛さも適性の1つです。

好奇心旺盛であることは、知識や技術を取り入れることに前向きであり、より広い知見を持てるようになります。

コミュニケーション能力

ネットワークエンジニアはチームで作業をすることが多い職業です。特に、保守や運用では複数人で客先常駐となることが多いため、協調性があるということも重要です。

また、システム設計や要件定義ではクライアントの要望に耳を傾け、正確に内容を把握することが大切ですから、人当たりの良さも求められます。

論理的思考

論理的思考力はネットワークエンジニアに必須とも言えます。設計や障害対応、ミーティングなどで簡潔かつ体系的に考えられることは大きな強みです。

物事をロジカルに考えるのが苦手なら、フレームワークを使ってみてください。論理的思考の助けになるフレームワークとして、マインドマップやピラミッドストラクチャーなどがあります。

文章作成

基本設計書や構築手順書など、ネットワークエンジニアは多くの資料やマニュアルを作成します。そのため、WordやExcelのスキルが必要です。

同時に、物事を簡潔に正しく伝えることや、読みやすい文章を書くことも大切です。緊急で文書を作成するシーンがあることを考えると、ブラインドタッチができることもプラスに働きます。

例えば障害が発生したときには上位者へ連絡をして報告をしますが、発生している状況を正確に伝えることが大切です。誤った情報を伝えたり判断が遅れたりすると、トラブルによる影響が拡大します。こういった場面でも、わかりやすい文章で伝えるスキルが求められます。


ネットワークエンジニアとして役立つ資格

ネットワークエンジニアとして仕事をする上で、役に立つ資格を5つピックアップしました。

  • ITパスポート試験
  • シスコ技術者認定資格
  • 基本情報技術者試験
  • ネットワークスペシャリスト試験
  • 情報処理安全確保支援士試験

いずれの資格も、取得は必須ではありません。しかし、ネットワークエンジニアに必要な技術や知識を持っていることを証明できるメリットがあります。未経験者や初心者であれば、資格を取得しておくと面接でのアピールポイントになります。

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、ITの基礎を学ぶことができる資格です。パソコンの基礎知識からIT業界の仕事の進行、ネットワークの基礎が網羅されています。

ネットワークエンジニア未経験者であれば、まずはITパスポート試験の取得を目指してみると良いでしょう。

シスコ技術者認定資格

シスコ技術者認定資格は、アメリカのネットワーク関連機器メーカーであるシスコシステムズ社が実施している民間資格です。資格は世界共通で、企業からの評価も高い点から転職や就職でも有利です。

シスコ技術者認定は5段階あり、入門レベルのCCTから徐々に難易度が増していきます。

  1. CCT
  2. CCNA
  3. CCNP
  4. CCIE
  5. CCAr

ネットワークエンジニアとして高い収入を得たいと考えているなら、上位資格を目指してみましょう。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施している国家資格です。ネットワークエンジニアとして基礎的な技術や知識を身につけていることを証明し、上位指導者のもとでシステムの設計や開発、分析などができるようになります。

また、ワンランク上の応用情報技術者試験もあります。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は国家資格です。基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の上位に位置する資格であり、ネットワークの構築から管理、運用や保守のすべてを行え、指導もできることを証明します。

受験の際には実務以外にも専門知識の見直しや、記述試験への備えが必要です。

情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士とは、サイバーセキュリティーに関する知識や技術を有していると証明できる資格です。

業務は主に開発や運用の支援、調査や分析、評価を行います。

これまでと比べてクラウドサーバーを利用する企業が増えたため、セキュリティーに関する技能を持つネットワークエンジニアは重宝されます。また、セキュリティーコンサルタントとして経営支援ができるのもメリットです。 士業としても認められているため、ネットワークエンジニア以外の活路も見いだせる資格といえます。


まとめ

ネットワークエンジニアとは、ネットワークの設計、構築から運用や保守までを担う職業です。安定したネットワーク環境は、今や社会インフラとしても重要なことから将来性が高く、安定して働くことができる仕事と言えます。

未経験者でも働きやすく、専門性が高い点は魅力ですが、社会を支えるインフラに関わる仕事であるため深夜帯の勤務が求められる側面もあります。ただし、ステップアップできれば日中の勤務も多くなるため、資格取得やスキルアップなど自ら学ぶ姿勢を持つことが大切です。

ネットワークエンジニアになるときは、勉強もかねて資格取得を目指すことをおすすめします。初心者であれば、ITパスポート試験やCCNA取得を見据えた勉強から始めるのがよいでしょう。

この記事を書いた人

株式会社アイエスエフネット

エンジニアと共に成長し続けるITインフラ企業です。

ITインフラエンジニアの育成に力を入れ、クラウドなど時代のニーズにあわせたソリューションを展開しています。また、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関係なく、あらゆる方々がやりがいをもって働くことができるダイバーイン雇用に取り組んでいます。

エンジニアの転職や資格取得、DEIなどについて、役立つ情報を発信しています。

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