▼目次
クラウドエンジニアはインフラエンジニアの一種
サーバーやネットワークをはじめ情報システムの基幹部分を担うサーバーエンジニア・ネットワークエンジニアのことを「インフラエンジニア」と呼びます。そしてクラウドエンジニアはインフラエンジニアの一種だと言えるでしょう。
- ネットワークエンジニア
オンプレミス環境下における情報システムのネットワーク機器の選定と設定、運用管理・保守を担うエンジニアです。 - サーバーエンジニア
オンプレミス環境下における情報システムのWebサーバー、メールサーバー、データベースサーバーなどの開発・運用管理を担うエンジニアです。サーバーとOSの選定、OSのインストール・各種設定、CPUの使用率監視なども行います。 - クラウドエンジニア
クラウド環境下における情報システムの開発・運用管理・保守を専門に担うエンジニアです。サーバーエンジニア・クラウドエンジニアとの大きな違いとして、クラウドエンジニアにはクラウドの特徴である仮想化技術の専門知識習得が挙げられることがあります。
関連ページ:インフラエンジニアとは? IT社会に必要不可欠な仕事を解説
ネットワークエンジニアとクラウドエンジニアに必要なスキルの違いとして、主に次が挙げられます。
- ネットワークエンジニアの場合
ネットワークエンジニアにはルータ、スイッチ、サーバー、回線などのハードウェアに関する専門知識がクラウドエンジニアよりも多く求められます。さらにルーティング、サーバー設定、監視ネットワークなどに関するソフトウェアの専門知識やハードウェアの配線に必要なケーブリング、ラッキングなどの作業知識も求められます。 - クラウドエンジニアの場合
クラウドエンジニアにはクラウドに関する専門知識、クラウド形態とクラウドサービスの種類に関する専門知識、インターネットに関する専門知識などが求められます。またクラウドエンジニアの仕事は、クラウド環境下での情報システム開発に関する業務が大半ですが、オンプレミス環境下での情報システム開発に関する専門知識も不可欠とされています。なぜなら現在はまだオンプレミス環境下での情報システムの新規開発案件は少なく、オンプレミス環境からクラウド環境への移行案件の方が多いからです。
ですが近年はクラウドの広がりに伴い、例えばネットワークエンジニアであってもクラウドに関する知識は必須、といった形での広がりを見せています。
クラウドエンジニアへの道
オンプレミスを専門とするITエンジニアがクラウドエンジニアに転職する道は、一般に次のステップと言われています。
クラウドエンジニアになるために必要なスキルを身に着ける
クラウドエンジニアに求められるスキルは、オンプレミスのITエンジニアに求められるそれとは少し異なっています。オンプレミスのITエンジニアとして活躍してきたスキルと経験を応用できるところは応用し、応用できないスキルは新たに習得する必要があります。
クラウド関連の資格を取得する
ステップ1のリトマス試験紙になるのが、クラウド関連の資格取得です。この受験勉強の過程で自分が新たに習得しなければならないスキルが明確になるでしょう。
クラウドエンジニアの求人に応募する
クラウドエンジニアに転職するための専門知識を習得したら、クラウドエンジニアの求人に応募します。2021年現在はクラウドベンダーにもクラウドユーザー(一般企業)の情報システム部門にも、クラウドエンジニアを探している企業が少なからず存在する状況のため、このハードルはかなり低いでしょう。
クラウドベンダーやクラウドユーザーの求人に応募するのが一般ですが、ITエンジニア専門の転職エージェントの求人に応募するのも良いでしょう。転職エージェントの求人の場合は、求人要項の比較ができるので入社後の研修制度やキャリアパスを踏まえ、自分にとって最適な転職先を見つけられる可能性があります。
クラウドエンジニアになるために必要なスキル
オンプレミスのエンジニアからクラウドエンジニアに転職するために新たに必要となるスキルとして、一般に次が挙げられます。
クラウドとクラウドサービスの専門知識
クラウドサービスはその形態と種類によりユーザーの利用法は千差万別です。
クラウドエンジニアはその千差万別に則して適切なクラウドサービスを選択し、その環境下でユーザーが要求する情報システムを構築しなければなりません。
このためクラウド全般の専門知識、クラウド形態とクラウドサービスの種類に関する専門知識、国際規格を始めとするインターネット全般の最新知識、そしてクラウドの特徴であるサーバーとネットワークの仮想化に関する専門知識などが求められます。
オンプレミスの専門知識
クラウド環境下の情報システム開発と、オンプレミス環境下の情報システム開発との間に、基本的な違いはほとんどありません。システム構築中や運用中にネットワーク、サーバー、OSなどでトラブルが発生した際の復旧も、クラウドでもオンプレミスでも近いものが多いと言えるでしょう。よってネットワーク、サーバー、OS、ミドルウェアなどのオンプレミスに関する専門知識が不可欠です。
プログラミングの専門知識
クラウドエンジニアの場合、オンプレミスのSE同様にプログラミングの専門知識が必要です。クラウド環境下での情報システム構築作業は自動化が前提です。この自動化を行うためにはプログラミングが必要です。
例えばWebサーバー、メールサーバー、データベースサーバーなどを合わせて50台を手作業で設定する場合、
・1台ずつ手作業で設定しなければならないので、多くの工数と時間を要する
・1台ずつ手作業で設定しなければならないので、必然的に人為的な設定ミスが発生する
などの問題が付きまといます。この問題はコスト問題に直結しています。この問題を解決するのが自動化および、自動化のためのプログラムです。
条件に合う情報システムを開発するために、プログラミングの専門知識はクラウドエンジニアの必須科目になっています。
論理的思考能力
クラウドエンジニアには論理的な思考能力も求められます。
例えばパブリッククラウドの場合はクライアントの要望、プライベートクラウドの場合は社内ユーザーの要望を満たすために必要だからです。
その際ヒアリング調査やアンケート調査の結果を踏まえ、
・クライアントや社内ユーザーの本当のニーズは何か
・システム構築・運用の過程でトラブルやエラー発生を防止するためにはどんな設計が必要か
などを突き止める必要があります。これには様々な要因が絡むので、それらを整理し体系化するために論理的思考がどうしても必要になります。
高度なコミュニケーション能力
オンプレミス環境下の情報システム開発と同じく、クラウド環境下の情報システム開発においてもプロジェクトメンバーとの協働作業になります。この協働作業を円滑に進めるためには問題意識の共有が不可欠であり、そのため必然的にクラウドエンジニアには高度なコミュニケーション能力が求められます。
またクライアントや社内ユーザーからヒアリングや、情報システム構築進捗状況の説明をする際にも高度なコミュニケーション能力は不可欠になります。
まとめ
「クラウド時代」と言われ、クラウドエンジニアの需要が右肩上がりの現在、オンプレミスのSEやインフラエンジニアにとってはキャリアアップのチャンスと言えるでしょう。また情報システム開発と直接的な接点がないエンジニアの場合も、すでに素養がある訳ですからクラウドの専門知識習得はそれほど難しくないでしょう。
IT全般に対する自分の知見を広げ、キャリアの幅を広げ、自分の労働価値を高める上でもクラウドに関する勉強は意義のあることと言えるでしょう。